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No.277(2014/11/12)
エボラ出血熱問題で先頭に立つ全米看護師統一労働組合(NNU)

 エボラ出血熱に感染した2人の看護婦が所属する全米看護師統一労働組合(NNU)が、政府および疾病管理予防センター(CDC)の対応に怒りの声をあげている。
 医療従事者に対して、致死性の高いエボラ出血熱への危険性を完全に取り除くには、長年にわたる反復した治療活動の訓練が必要であるが、看護師たちは自らの身や社会を守るための適切なトレーニングを受けていないと訴える。
 NNUは、エボラ患者を収容したダラスの病院の予防措置不備を過去何週間も訴えてきており、他の労働組合が軽い声明などで済ませる中、オバマ大統領や議会、連邦機関や各州知事に書簡を送って、強力な予防措置を要求してきた。
 NNUは組合員18万5000人で最も若い労働組合の一つだが、多くの労働組合が扱わなかった諸課題に積極的に取り組んでいて、中には組合員全員の支持が集められない場合もある。
 その前身は1995年にアメリカン看護師協会労働組合から脱退した、カリフォルニア看護師協会労働組合で、2009年にはチームスター労働組合のオルグだったデモロ委員長を中心に、看護師専門の労働組合として設立され、サービス労働組合(SEIU)やアメリカン教員協会労働組合(AFT)などと組合員争奪戦を演じた。そして変容する医療問題や看護師不足、重病化する患者、変革するIT技術の多用化などに対処できる職場環境を要求して、史上最大のストライキや、怠業を行なうなど攻撃的に活動を展開してきた。
 活動の中心は賃金や労働時間、患者に対する看護師割合などであるが、オキュパイ・ウォールストリート運動 への看護師派遣、各種社会的費用への銀行課税、化石燃料反対デモ、健康保険の全額国庫負担、カリフォルニア知事への新人候補の擁立などにも活動を拡げており、公的医療と社会正義の擁護者を自認している。
 この点についてNNUは「NNUを設立した理由は、いろいろな問題への取り組みについて各看護師労働組合の間に大きなギャップがあったので、声を一つにする必要から生まれた。入院患者だけでなく、社会全般の患者のために看護師の主張を一つする努力を長年続けている。最近ではエボラ熱にさらされる看護師の安全問題が一番の課題となった。全国の看護師が最高水準の予防措置がない病院で働くのは怖いと言っている。リベリアに1000着の防護服(ハズマット・スーツ)を送った時には、“エボラは看護師キラー病だ”と言った看護師もいた。多くの看護師が政府機関であるCDCの怠慢に怒りの声をあげているが、それ以上に民主・共和両党が政治的意欲に欠けていることが問題だ。公的医療制度に反対してきた金持ちも感染の危険にさらされているのだ」と述べている。


i  2011年9月、ニューヨークのウォール街において発生した、アメリカ経済界、政界に対する抗議運動。リーマン・ショック後の不況の中、若者の4割に職が無いにもかかわらず、それに対し有効な対策を打てない政府に対する不満から始まった。

フェイスブックの通勤バス運転手がチームスター労組加入を希望

 米シリコン・バレーにあるフェイスブック本社は、新卒のソウフトウェア・エンジニアに年収10万ドル(約1143万3000円)超の高給を支払い、労働組合を必要としない「最も働きやすい会社」といわれている。しかし、同社の社員を運ぶ通勤バスの運転手40人は、生活ができる賃金を要求して、チームスター労働組合への加入を表明した。彼らは午前6時から午後9時までの15時間働きながらも物価の高いこの地域で厳しい生活を強いられているという。
 この点についてチームスター労働組合は「フェイスブック社員が高額な給与を得ている半面、社員の通勤を担うバス運転手は家族の生活が維持出来ない状況に置かれている。これは貴族と召使の関係であり、ザッカーバーグCEOが契約バス会社に労働組合承認を促すよう要求する」と述べている。
 ある通勤バス運転手は、賃金は時給20.8ドル(約2378円)であるが、最大の問題は労働時間で、朝は6:10から11:10まで働き、6時間の休憩を経て、17:15から21:45まで働くことになっている。この6時間の休憩を拘束されることが苦痛であり、労働組合が対策を考えてくれることに期待を寄せている。
 これに対し当のバス会社は、午前と午後の労働時間はどうにもならないが、その間の休憩にリクライニングの椅子やラウンジを用意しており、賃金面でもいい待遇を得ているはずだと答える。
 他の運転手は「午前5時に家を出て夜9時に家に帰る。子供の顔を見ることができない。IT企業の進出によりこの地域の物価が急騰し、それに怒った昔からの住民がバスを襲撃する事件も起きた。ここで生活するのは苦しい」と語る。フェイスブック社員は、本社近隣の高級住宅街に居住できるが、バス運転手は遠隔地からの通勤を余儀なくされているようだ。
 そうした中でチームスター労働組合は、同じく高待遇のグーグルやアップルなどのバス運転手の組織化も計画しているが、問題は各バス会社がIT企業からの契約を取ろうとして、他社を下回る価格を提示し続ける現状にあるという。

*1ドル=114.33円(2014年11月10日現在)

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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