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No.274(2014/10/28)
財政再建の米国郵便公社(USPS)に9000人復職の仲裁裁定

 インターネットの発達により、世界各国の郵便事業は年々縮小を余儀なくされているが、米国郵便公社(USPS)は、今年6月末における累積損失226億ドル(約2兆4157億円)という巨額赤字を抱え、これまで何度も破たんが懸念されてきた。政府は再建を目指すため、かつて利用者の少ない郵便局の閉鎖を計画したが、アメリカン郵便労働組合(APWU)との厳しい労使交渉を経て、2012年に、閉鎖ではなく操業時間を削減することで合意し、同時に多数の労働組合員がレイオフされた。こうして、利用者の少ない郵便局は、1日2時間、4時間ないし6時間の操業に区分けされた。
 その後USPSは郵便局長だけで賄いきれない郵便局の業務を支援するために、パートタイムを採用してきたが、これについてAPWUが組合員の復職を訴えて仲裁裁判所に提訴した。
 その結果、裁判所は労働協約に照らして労働組合の提訴を認め、4時間と6時間の郵便局について組合員の復職を命令した。この決定により4時間郵便局には6000人、6時間には3000人の合計9000人以上が復職する。ただし裁判所は2時間郵便局についてはパートタイムを認めた。
 USPSの経営をめぐっては今後も混乱が予想されるが、米国郵便事業者協会のローランド会長は「ありとあらゆる手段で郵便を維持し、環境変化に適用させることが必要だ」とコメントしている。
 なお、日本では連合に加盟する郵便事業等の労働組合である日本郵政グループ(JP)労働組合が、非正規労働者(期間雇用社員)の組織化に力を入れてきた。この結果、現在組合員24万人のうち約30%が非正規労働者で占められている。
 また、賃金面等の待遇改善についても、非正規労働者である月給契約社員及び時給契約社員の賃上げ等を実現してきた。2008年に非正規労働者の正社員登用を開始してから、毎年正社員登用を実現してきたが、2014春季生活闘争においても、非正規労働者の正社員登用を拡大することを要求し、2015年度に約2700人を正社員である「(新)一般職」として登用することとなった。

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ダイムラー社監査役会労働代表が米国工場の労働組合結成を要望

 ダイムラーは、2002年に経営側とダイムラー世界従業員委員会(WEC)が合意した社会的責任の原則に基づいて、世界各国のダイムラー関連企業における労働者の基本的権利を尊重しようと取り組んでいる。結社の自由、組合を設立する権利、団体交渉権は、これらの原則の不可欠な要素であり、取引先にもこれらの権利の尊重を求めている。
 ダイムラー社の監査役会労働代表ミカエル・ブレヒト氏は、世界のメルセデス・ベンツ工場の中で米国アラバマ工場だけに労働組合がないことは許しがたいと述べて、全米自動車労働組合(UAW)による組織化に支援を表明した。
 同氏は「国によって形は違うが、インドでも労働組合結成の動きが進んでおり、会社の同意もある。しかし米国では会社が抵抗しており、これは許しがたい」と述べた。
 この発言は最近のテネシー州における、共和党議員や州知事の強い反対活動などで挫折したフォルクスワーゲン社(VW)におけるUAWの労働組合結成失敗を念頭に置いたものだ。ブレヒト代表は、連帯活動を推進するため、今年春にUAWのキャスティール財政事務局長を、WECの委員長補佐に指名している。
 一方、同社のディーター・ゼッチェCEOはアラバマ工場訪問の際に「UAWとは話をしており、会社は従業員の決めることについて中立を保つが、過去20年間、アラバマ工場では労働組合は要らないということになっている」と述べたが、ある従業員からは労働関係の資料配布や会話が禁止されているといううわさもあり、ブレヒト代表は、会社の中立性を確認するとして近く訪米の予定である。
 他方アラバマ州のベントレー知事(共和党)は「メルセデス工場に労働組合ができるようなことになると、投資先が減る。アジアなどの企業は労働組合の強いところには進出したがらない」と述べているが、VWテネシー州チャタヌガ工場における労働組合結成の動きに対し、共和党議員や州知事らが同様のキャンペーンを張ったが、チャタヌガ工場近郊にUAWの支部「ローカル42」が設立された後に、VWはチャタヌガ工場での新型SUV生産を行なうと発表し、従業員2000人の増員も決定している。

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UAWと自動車部品企業が二重格差賃金撤廃に合意

 世界最大手の自動車シートメーカーであるリアー社インディアナ州ハモンド工場で、全米自動車労働組合(UAW) と会社は、新規採用者の賃金を低水準に抑えてきた二重格差賃金の撤廃に合意し、760人のUAW組合員は圧倒的多数でこの4年協約を承認した。これにより同工場の新規社員の賃金は、時給11ドル(約1176円)から20ドル(約2138円)程度に、トップクラスの賃金は21.58ドル(約2307円)に引き上げられる。
 自動車産業ではリーマンショックによるデトロイト3社の経営危機に際し、3社における従来組合員の時給28ドル(約2993円)はそのままにしながら、新規採用者の賃金を低額に抑える二重格差賃金が2007年に導入された。
 こうしたコスト削減と景気回復もあって、近年の自動車産業は急速に業績を回復しているが、同時に全労働者の連帯を標榜するUAWでは、各組合員から格差賃金撤廃の要求が高まっており、今回のリアー工場の協約合意により来年9月のデトロイト3社の協約交渉にあたって、この課題が大きく浮上してきた。
 GMとクライスラーが倒産の危機にあり、米国政府が救済資金を供与した時の2011年の交渉ではストライキが禁止されたが、政府出資が解消した現在、その制約はない。

*1ドル=106.89円(2014年10月22日現在)

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