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No.264(2014/9/3)
台湾、労働者派遣法制定をめぐる論議への関心高まる

 台湾では、9月から本年後半の国会審議が始まるが、労働者派遣法制定をめぐる論議が注目される。労働者派遣法については、これまでにも、政府、労働組合、使用者団体、専門家などでの論議が続いてきたが、今年前半の国会で法案提出が話題となり、労働団体がメーデーで強くアピールしたことなどから、社会的な関心も高まっている。
 台湾では、近年、派遣労働者の数が大きく増加し、政府の統計によれば、臨時労働者と合わせた数は50万人を超え、労働力人口(約1100万人)の5%近くとなっている。派遣労働の多くは職業紹介会社によるビジネスとして行なわれているが、違法な派遣も目立ち、労使紛争が増加している。
 しかしながら、台湾では、派遣労働について、これまで労働法制での規定がなく、労働者派遣法も存在しないことから、法律の不備を指摘する声が強まっていた。そのため、労働省は、ドイツや日本の制度を参考に、労働者派遣法(「派遣勤労者保護法」)の検討を続けてきており、国会への提出を準備している。
 この動きについては、労働組合側には強い反発がある。メーデーでは、野党系の労働団体などが、「低賃金反対、派遣労働禁止」の大きなデモを組織し、政府と労働省に抗議を行なった。これに対して、労働省は、準備中の法案は派遣労働者の保護を目的とするもので、派遣先の正社員との均等待遇、派遣労働者を従業員の一割以下にすることを盛り込むなどと説明している。与党国民党には議員立法により政府案とは異なる法案を提案しようとする動きもある。
 台湾では、2002年のWTO(世界貿易機関)加盟などにより、経済のグローバル化がすすむなかで、民間の職業紹介や人材派遣が拡大し、臨時労働者や労働者派遣が増加してきた。また、2005年には、労働者が企業を移動する場合にも退職金を確保する制度が施行されたのだが(「企業年金法」)、それに伴う負担を避ける方策として派遣労働の利用が加速したといわれる。
 台湾の労働法制には日本を参考にしたものが少なくないが、これまでは、「派遣法」「パート法」などは制定されていなかった。今回の労働者派遣法制定をめぐる論戦では、賛成派、反対派の双方が、日本の制度や労使の対応を紹介している。今回の論議は、日本の労働法制の動向がアジアに影響を与えるケースの一つとしても注目される。)

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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