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No.262(2014/8/26)
マクドナルドの時給15ドル要求に新展開

 米国のファストフード産業従業員の平均時給は約9.08ドル(約943円)、フルタイムで勤務しても年間平均1万8880ドル(約196万688円)にすぎない。
 マクドナルド、バーガーキング、ケンタッキー・フライドチキンなど各チェーン店の従業員たちが現行賃金では生活ができないとして、現行から大幅に引き上げで時給15ドル(約1527円)とすることや労働組合の結成などを要求して、全国的な盛り上がりを見せている。
 5月に行なわれた全マクドナルド本社付近で行なわれたデモでは、参加した従業員約110人と、支援する労働組合員、聖職者ら36人が逮捕された。
 その中で7月29日、全国労働関係委員会(NLRB)はマクドナルドの特定の店について、フランチャイズ店とマクドナルド本社は共同経営の立場にあると認定した。この判決により、各ファストフードチェーンが、低賃金はフランチャイズの責任だとしてきた言い訳が崩れることになり、労働条件改善運動の新展開となる可能性がでてきた。
 マクドナルドに対しては労働法違反の訴訟が181件起こされており、NLRB はそのうち43件について共同経営の状態にあると認定したが、残りはそうでないものと審理中のものである。他方、マクドナルドはおよび国際フランチャイズ店協会(IFA)はこの判決を不服として、控訴するとしている。
 この運動を支援する国際サービス従業員労働組合(SEIU)などは、マクドナルドがフランチャイズ店の展開にあたり、メニュー、仕入れ、ユニフォーム、教育訓練などに細かく指示を出していると指摘している。また3月の訴訟では、会社ソフトウエアーで売上高労務費率が基準を越えたときには、次に勤務する店員は入店を待たされている状況や、マクドナルド本店からの定期的検査ではドライブ・スルーの速度などがチェックされ、フランチャイズ店がいかにコントロールされているか、その様子が述べられている。
 連合もすべての職場において非正規労働者(主として有期雇用契約労働者と派遣労働者)の組織化と処遇改善を促進するための運動の展開・定着をはかることとし、春季生活闘争においては、格差是正・底上げに向けて非正規労働者の処遇や労働環境の改善に取り組む方針を掲げた。また、産別・加盟組合においては、パートタイマーや派遣労働者等の実態把握や交流を行い、非正規労働者の組織化や組合行事への参加、処遇改善につながる運動を推進している。
 このほか、非正規労働者の処遇改善につながる最低賃金の引き上げや、労働法の改正などにも積極的に取り組むこととしている。

*1ドル=103.85円(2014年8月21日現在)

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米国・妊娠中の労働者への新たな保護ガイドラインを制定

 米国における、雇用・職場でのあらゆる差別に対する救済を目的に、1964年に設立された雇用機会均等委員会(EEOC)は、妊娠中の女性労働者についてのガイドラインを30年ぶりに改定した。この改定により妊娠中の労働者に対するいかなる形の職場差別やハラスメントも性的差別であり、違法だと規定した。
 この規定はあらゆる分野での障がい者への差別を禁じ、機会平等を保障しているアメリカ障害者法(ADA)の解釈を改定するもので、過去ならびにこれからの妊娠についての差別にも適用され、妊娠する労働者への保護を強めるものとなる。
 新ガイドラインは、妊娠労働者が休暇を取るよう強制されることを禁止し、軽労働に就かせるよう求めている。また同様の立場に置かれた父親についても同じことを求めている。
 EEOCに寄せられた差別は1997年から2011年にかけて46%増加しているが、妊娠女性に対する差別事例が多く挙げられている。
 妊娠中の女性労働者に対する保護法は世界各国で様々だが。スウェーデンでは妊娠による差別を禁止するとともに、25人以上の企業に対して、育児について従業員全員による協力体制を求めている。エジプトでは労働時間の軽減と出産後3カ月の休暇が法律に規定されているが、男性の雇用を助長しているとの指摘がある。メキシコでも差別禁止の法律があるが罰則は弱い。
 日本においても妊娠した労働者に対する差別は多く、連合の調査では、妊娠経験のある労働者の4人に1人が「マタニティハラスメント(マタハラ)を受けたことがある」と回答している。この背景には、法律や制度について、会社や管理職、職場の同僚がきちんと認識していないことに原因があるとしている。働きながら妊娠・出産・子育てをするための権利は、労働基準法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法によって守られているにもかかわらず、社会がまだ追いついていない実態がある。連合の「なんでも労働相談」でも、「妊娠を告げたら、退職を強要された」「育児休業後に復帰する職場はないと言われた」など、法を無視したハラスメントに関する相談が寄せられている。
 このため、連合は「働くみんなのマタハラ手帳」を作成し、妊娠・出産と仕事を両立するための基本的な法律をわかりやすく紹介するとともに、すべての労働者が仕事と生活の調和が可能となるよう、職場全体の働き方を見直すための運動を展開している。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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