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No.254(2014/7/18)
バングラデシュの労働事情

 2014年6月13日、当財団の招へい事業で来日したバングラデシュ・ネパールチームの労働事情を聴く会が開かれた。今回は、ITUCバングラデシュ協議会(ITUC-BC)の参加者6名から報告があり、その概略について紹介する。

【男女平等をはじめ女性に関する課題について】
 女性に優しい労働法をつくり、その労働法がきちんと実行され、労働法が破られたら罰則を与えること、違法行為を厳しく取り締まること、組織化を進め団体交渉を行なうことで、働く女性は皆笑顔になれる。
 しかし、女性の働く場には色々な問題がある。まず、ハラスメントがある。男女平等が実現してない。仕事に保証がない。出産育児休暇をきちんと取れない。女性に優しくないなど色々な問題が起きている。また、女性には、仕事だけではなくやるべきことが多いという問題もある。例えば、自分が会社で働いているだけではなく、家に帰れば家族のために働き、また、組合のためにも働かないといけないという状況にある。このため、女性への負担は益々大きくなっている。
 労働組合が女性に対してどの様な役割を果たすべきか。特にバングラデシュでは、インフォーマルセクターで働く人たちと、縫製業界の女性を団結させることが必要である。労働組合の活動に興味を持ってもらうため、女性に関するいろいろな活動を定期的に行なっている。例えば、レディーズデーとかウーマンズデー、母の日、メーデー、このような機会に様々なキャンペーンを行なったり、ラリーを行なったり、あるいは集会を開催している。
 労働組合の運動には様々なチャレンジがあるが、1つの目標は、インフォーマルセクターの人たちをフォーマル化することである。そのためには、ばらばらに働いている人たちを団結させることである。
 また、バングラデシュにおいては、国際労働基準に基づいて労働法を制定できるようにするための活動を行なっている。このほか、最低賃金を保証することや、社会保障の確立、職場の衛生や安全についても保証される、このような目標を達成するため活動を行なっている。
 エイズについても様々なキャンペーンを行なっており、開発途上国では、こうした知識を皆が知ることが非常に大事である。

【衣料・縫製業でこれまでに1841名が犠牲となる】
 2012年に、タズリーン・ファッションズという縫製会社で112人が亡くなり、200人以上が負傷した。その工場には、火事のとき逃げるために必要な非常口がなかったことに加え、正面玄関は鍵をかけられていた。このため、労働者が外に出られず、これだけ大きな犠牲者を出すこととなった。
 さらには、これを上回る犠牲者を出したのが、2013年にダッカ近郊で縫製工場が入居するラナプラザビル(9階建て)の倒壊である。1階と2階には銀行があり、このほか5つの縫製会社が入居していた。この建物の倒壊で1137名が命を失った。今でも379人が行方不明のままであり、2500人がけがと戦っている。バングラデシュにとっても、世界にとっても非常に悲惨な出来事である。この二つの事故も含めて、今日まで、衣料・縫製業界において1841名が命を失っている。
 ラナプラザビルの倒壊後、労働組合の運動のそのものが変わりつつある。運動の最も重要なことは、労働者のための安全保障、安全を確立することとなった。労働時間中に事故が起きたことで、労働法に基づき賠償金が支払われるが、今回は特別に、総理大臣が自分のファンドから1150万タカを寄附した。また、ILO(※1)も、命を失った人とけがをした人、全ての労働者には5万タカずつ支給した。
 ラナプラザビル倒壊後に101(※2)の労働組合が設立された。その組合は、ラナプラザビル倒壊以前(看板だけの組合もあった)とは違い、きちんとした組織として活動ができるようになっている。また、縫製業界においては、必ず労働組合をつくらないといけないという空気に変わってきている。

【児童労働問題の解決に向けて】
 ILOの労働基準に基づき、児童労働(※3)が禁じられているが、残念ながら現実には、バングラデシュでは多くの子どもたちが働いている。バングラデシュの児童労働は、以前に比べ非常に良くなり、その数は減っているが、5歳から14歳の労働者は600万人ぐらいと考えられる。
 この児童労働をどうすれば減らせるのか。また、働いている子どもたちにどのような教育をすればいいのか。こうした問題を解決するために、我々はさまざまな活動を進めている。働いている子どもたちを学校に通わせる活動や、職業訓練などのトレーニングも用意している。そうすることで、将来、彼らが自立した生活ができると考えている。
 それ以外にも、全国ベースで子どもたちの安全を確保する。このことは、子どもたちだけではなく、ナショナル・セーフティー・ポリシーを、全国にきちんと行き渡るようにしようと活動をしている。

(※1)ILOが中立的な議長を務め、事故被害者・遺族への支払いをするために設立された調整委員会で、政府、労働組合、業界、使用者団体、非政府組織(NGO)、複数の世界的ブランドで構成されている。
(※2) ILO駐日事務所(HP)は、4月22日現在、既製服部門で新規に設立された141の登録労働組合の幹部に、結社の自由等についてオリエンテーションを行なったと公表している。
(※3)児童労働数:2003年時点では499万人(バングラデシュ政府統計局)となっているが、分類不明な児童が110万人いることに加え、就学者2897万人の中には、就学と同時に就業も行なっている者が含まれている。調査時点の子どもの年齢は5歳以上、14歳以下となっている。

*1タカ=1.30円(2014年7月15日現在)

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メルマガNo.234 (http://www.jilaf.or.jp/mbn/2014/234.html
メルマガNo.191(http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/191.html
メルマガNo.188(http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/188.html
メルマガNo.177(http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/177.html

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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