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No.249(2014/6/26)
米国の雇用、リーマンショック前に回復

 米労働省の統計によると、米国の5月の非農業部門の雇用が前月に比べ21万7000人増加して1億3846万人を記録し、2008年に起きたリーマンショック前の1億3837万人を上回る水準にまで回復した。
 失業率は5月に改善が予想されていたが、4月と同水準の6.3%にとどまった。しかし、この水準は2009年の10.0%、昨年6月の7.5%から見れば大幅な改善を見せている。雇用者数の伸びは、個人消費の動きを映しやすい教育、レジャーなどサービス部門がけん引し、過去4カ月連続して20万人以上の増加を示したが、これは14年ぶりの出来事であり、米経済の着実な回復を裏付けている。
 この数字は、連邦準備理事会(FRB)が雇用回復によるインフレ圧力を避けながら、景気回復に向けて実施している、債券買取りの量的緩和縮小政策を後押しするものといえる。イエレンFRB議長が一時示唆した、2015年春の利上げ観測はひとまず後退したが「雇用が上振れすれば、利上げ先送りの根拠は弱まる」との見方もある。
 他方、労働力人口はリーマンショック前から1500万人増加した中で、その比率は1970年代後半の低迷時と同水準の62.8%にとどまっており、失業率もリーマン前の4%-5%台から見てもかなり高い水準にある。仕事を探す若者や、レイオフされた人たちには厳しい環境が続いており、職探しをあきらめた人たち、パートタイムで我慢している多くの人たちを加えると、広義の失業率は12.2%に上る。自動車などがフル操業に入る一方で、業績が振るわない大企業はリストラを進めている。米調査会社チャレンジャー・グレイ・クリスマスによると、米企業が5月に発表した人員削減は約5万3000人。前月比で約30%増え、1年3カ月ぶりの水準に膨らんだ。
 米平均時間給は24.38ドル(約2485円)となり、1年前から2.1%の増加を示したが、物価上昇に追い付いていない。失業の期間は中位数でみて、4月の16週間から5月は14.6週間に短縮されたが、それでもリーマン前の7.1週間の倍である。
 失業率を人種的にみると、白人5.4%、黒人11.5%、ヒスパニック7.7%、アジア系5.3%であり、学歴別には大卒3.2%、高卒6.5%、ドロップアウト(高卒未満)9.1%となっている。 
 一方、急激な減少を見せている政府や公共部門の雇用は5月に1000人増加したが、民間は21万6000人増加し、専門職や観光、ホテル・レストラン、教育、医療介護などサービス産業の分野に多かった。

*1ドル=101.95円(2014年6月23日現在)

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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