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No.245(2014/6/10)
インドネシアの労働事情

 2014年5月23日、タイ・インドネシアチームの労働事情を聴く会が開かれた。このうち、インドネシアチームは、インドネシア労働組合総連合(CITU・KSPI)から3人、インドネシア福祉労働組合総連合(KSBSI)から2人から報告があった。以下、その概要をまとめた。

【2015年の最低賃金引き上げ目標は30%】
 CITUは労働組合の抱える重点課題として、[1]アウトソーシング(派遣労働、請負)の形態による労働を廃止、[2]適正な賃金の実現、[3]社会保障、[4]インドネシア人の海外の出稼ぎ労働者の保護、[5]国内の労働者に関する問題、[6]労使関係の問題を専門に扱う労使関係裁判所に関する法律の改正などがある。
 特に今年度、重点を置いている課題は、アウトソーシングの廃止、社会保障の問題、適正な賃金の実現、家事労働者として海外へ出ていく労働者の保護の4つとなる。アウトソーシングの廃止については、特に国営企業におけるアウトソーシングを廃止し、正規雇用に変更させることを目指して取り組んでいく。アウトソーシング労働者の存在は、労働組合の交渉力を弱め、組織化に向けて活動すると解雇されたりすることもあり、労働組合にとっても極めて重要な問題である。
 社会保障については、2015年7月までに全労働者に年金保障を実現することと、全国民へ健康保険を適用させることを目標に取り組んでいく。
 労使関係裁判所は、正確で、効果的で、費用も安く紛争解決にあたるという意図でつくられたはずであるが、現実は逆であり、安価でできるはずが、非常にお金のかかる制度になっている。
 最低賃金については、2013年に50%を目標として掲げて運動を展開した結果、地域によって異なるが、最低でも21.95%、最高では57.72%の引き上げを実現した。翌年の2014年は、最低が10.45%、最高では30.38%の引き上げとなった。しかし、最低賃金に満たない賃金で働かせたり、社会保障に加入させないなど問題企業も多い。
 2015年は、30%の引き上げを目標に取り組む。同時に、最低賃金算出の根拠となる「適正な生活のための必需品」の品目を、現在の60品目から84品目とすることを目指す。

【課題はアウトソーシング、結社の自由、社会保障、賃金】
 KSBSIの報告によれば、インドネシアの労働力人口(2012年)は、1億2041万人で、このうち失業者数は632万人となっている。このほか、統計上失業者とはなっていないが、半失業者と呼ばれる短時間労働者が1487万人で、このうち週15時間以下の労働者は690万人となっている。失業者、半失業者の合計2119万人は、雇用面から見て厳しい生活環境にあるといえる。
 KSBSIは労働組合の抱える重点課題として、[1]アウトソーシングの問題、[2]結社の自由、[3]社会保障、[4]賃金となっている。1つ目のアウトソーシングの問題に関しては、単独ではなく、ほかの労働組合とネットワークをつくり、いわゆるロビー活動を展開するなど、政府に対して要請活動を行なっている。
 結社の自由に関する法令が遵守されているかどうかについても監視をしていく必要がある。インドネシアでは、企業が色々な名目・理由で、直接的ではないにしろ、組合の存在を認めないという実態があるので、目を光らせていかなければならない。
 社会保障に関しては、インドネシアで社会保障システムが始まったことから、きちんと実施されているかどうか、国民全体がカバーされているかどうかを監視するとともに、その普及活動にも、我々は力を貸し普及に努めていく。
 賃金については、最低限生活に必要な品目数の物価から最低賃金を決めるが、その品目数を、今までの60品目から86品目(CITUと違うが発言通りとした)に増やすことを目指し、最低賃金は30%の引き上げにむけ運動を展開していく。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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