バックナンバー

No.242(2014/5/28)
カナダ労働会議が新会長を選出、強硬路線へ

 5月8日、カナダ労働会議(CLC330万人)は、新会長に財政事務局長であったハッサン・ユサッフ氏を選出した。
 会長選挙は、現職15年のケン・ジョーゲッティ会長と12年のユサッフ財政事務局長との間で争われたが、結果はユサッフ氏2318票、ジョーゲッティ氏2278票という40票の僅差であった。
 両者の争点は今後の労働運動の路線についてであったが、労働法改定など労働組合を圧迫する政界、財界の動きに対して、ユサッフ氏はより強い対決姿勢と巻き返しの必要性を主張して、過半数の支持を集めた。
 しかし40票の僅差は労組を2分する亀裂を示す。ユサッフ新会長を支持したのは自動車を主力とするカナダ 最大の民間労働組合UNIFOR, オンタリオ州労働連合会、カナダ公務員連合会(PSAC)などであったが、ジョーゲッティ前会長支持はカナダ公務員労働組合(CUPE)、オンタリオ州公務員労働組合、全米鉄鋼労働組合、全米食品商業労働組合などであった。
 ユサッフ新会長は南米ガイアナ生まれの少数民族出身で、自動車メカニックとして自動車労働組合の役員を経験し、1999年にCLCの執行副会長、2002年からCLC財政事務局長を務めてきた。

ファストフードチェーンの低賃金抗議活動、海外35カ国以上で展開

 マクドナルドなど、ファストフード店における低賃金への抗議活動が海外35カ国以上で行われた。
 米国のファストフード店における低賃金を時給15ドル(約1524円)に引き上げようとする運動はメディアの関心を集め、サービス労働組合(200万人)などの強い支持を得ながら、急速な広がりを見せている。こうした店で働く労働者はほとんどがパートタイムで、連邦最低賃金7.25ドル(約736円)で週40時間フルに働いても、年間所得は1万5000ドル(約152万3550円)しか得られず、生計が立てられない上に労働条件も非常に不安定である。
 こうした中、アメリカ、アルゼンチン・香港、イタリア、ニュージーランドそしてパナマの労働組合代表がニューヨークで相談し、日本、ドイツ、パキスタン、韓国なども含む35カ国以上の国で5月15日に「ファストフード世界同時アクション」として、抗議活動が展開された。
 日本では牛丼チェーンの「すき屋」で、アルバイトの退職が相次ぎ、時間休業や店舗の閉鎖を余儀なくされるという事態が起きている。同様に、居酒屋チェーンの「ワタミ」も従業員不足から60店舗を閉鎖すると報じられている。こうした外食産業以外にも、小売、介護、医療などの低待遇業種・職種における深刻な人手不足に関する報道が相次いでおり、デフレを理由に低コスト(低待遇)を押し付けるこれまでの経営モデルが通用しなくなってきているといえる。

*1ドル=101.57円(2014年5月20日現在)

過去の関連記事.
メルマガNo.235(http://www.jilaf.or.jp/mbn/2014/235.html
メルマガNo.200(http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/200.html
メルマガNo.196(http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/196.html
メルマガNo.190(http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/190.html

シアトル市が先鞭、最低賃金15ドルへの引上げに具体案策定

 今年11月に行われる中間選挙を前に、オバマ大統領が提案する連邦最低賃金の引き上げ、7.25ドル(約736円)から10.10ドル(約1026円)とする論議とともに、各地方自治体でも民主党が優勢の地域で最賃引き上げが大きな課題として取り上げられている。
 その中で先鞭となるであろう引き上げ案が、メーデーの5月1日に、ワシントン州シアトル市で策定された。
 この案はエド・マレー市長(民主党・前上院議員)による特別委員会が策定したもので、ワシントン州のシアトル市については、最低賃金を現行9.32ドル(約947円)から15ドル(約1524円)へ引上げるもので、この市長案をもとに来週から公聴会で討議、答申案が作成されるが、委員会の労使代表24名のうち21名の賛同を得ている。
 内容的には、500人以上の企業は早期に15ドル(約1524円)を実現、それ以下の企業は実施を遅らせ、チップや健康保険なども含めた15ドル(約1524円)とする。早い企業で2017年に15ドル(約1524円)を実施し、その後は物価連動させる予定で、適用の最も遅いケースでも2021年までとしている。
 マレー市長はこのタタキ台について「草案は複雑かもしれないが、状況も複雑だ。しかしこれは歴史的な産物となる。労使が共通の立場に立ってお互いが妥協の上に合意した。生きるのがやっとという労働者の生活向上を図るとともに、雇用の創り手である企業に傷をつけない方向で考えた」と語る。
 答申案は公聴会のあと市議会の審議を経て決定されるが、別の方法としては最低賃金を15ドル(約1524円)に改定する住民投票に持って行く動きもある。特別委員会共同議長を務めた国際サービス従業員労働組合(SEIU)シアトル地区ロルフ委員長は、市長案を支持している。

*1ドル=101.57円(2014年5月20日現在)

過去の関連記事.
メルマガNo.239(http://www.jilaf.or.jp/mbn/2014/239.html
メルマガNo.235(http://www.jilaf.or.jp/mbn/2014/235.html
メルマガNo.228(http://www.jilaf.or.jp/mbn/2014/228.html
メルマガNo.218(http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/218.html

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.