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No.239(2014/5/1)
オバマ大統領が最低賃金引上げに続き、女性の格差賃金解消に大統領令

 昨年世界経済フォーラム(WEF)が発表した「男女格差報告2013年」で、米国は2012年の22位から23位に格下げし、ドイツ(14位)イギリス(18位)とカナダ(20位)に遅れ、ニカラグア(10位)、キューバ(15位)、南アフリカ(17位)などの開発途上国に追い越されている現状が浮き彫りになった。日本は対象国136ヶ国中105位であり、過去最低の順位である。
 オバマ大統領は、今年1月に連邦政府の契約職員の最低賃金を7.25ドル(約743円)/時間給から10.10ドル(約1035円)/時間給に引き上げる大統領令を発動し、3月にはマクドナルドなどのみなし管理職に関する残業代可否の検討を指示したが、今回女性労働者に対する格差賃金の排除を命じる大統領令を、連邦政府の契約企業を対象に発動した。
 今回の発令は契約業者が賃金問題を討議する従業員への報復措置を禁止し、また人種別、性別の報酬データの提供を義務付けている。この命令は現在上院でスタートした女性に対する賃金格差を是正し公正な支払いとする法案と方向性を一にし、法制化を促進させることになる。
 大統領令は連邦政府契約業者だけに有効だが、契約業者に働く労働者はボーイング社や関連企業などを含めて全労働者の4分の1におよび、影響は甚大な広がりを持つ。
 こうした女性差別賃金は全国労働関係委員会(NLRB)判決も禁止しているが、それは訴訟があって初めて効果を持つ。しかし上院法案はこうした関係を明記して罰金なども明確化する。これに対し共和党は、法案が女性雇用を危うくするなどとして反対している。
 国勢調査局の資料では2012年の女性賃金は男性の77%にとどまっており、状況は10年間改善されていない。ただし時間給における格差は86%となっている。格差の要因は女性の労働時間が短いことにもよるが、時間給と年間所得の関係で見ればチップやボーナスなどの有無も加わる。
 民主党は、今年の中間選挙でも中間所得層の育成を政策として訴えてゆく方針だが、1月からの一連の大統領令、検討指示は、共和党の反対で議会審議が進まない中、政策を実現させるため、強行突破の様相を見せている。

*1ドル=102.50円(2014年4月22日現在)

物価高に抗議してアルゼンチンで24時間ゼネスト

 4月10日、アルゼンチンでは30%に及ぶ物価高に抗議して24時間のゼネストが発生し、全国的に経済活動、交通網、学校、病院などの活動が麻痺した。
 労働組合は物価高による賃上げと各種税金の引き下げ、さらには労働組合経営の医療制度の赤字引き受けを要求しているが、政府は労働組合医療の赤字は放漫経営によるものと反論した。
 事実、アルゼンチン経済は停滞の状況の中で、クリスティナ・フェルナンデス大統領の政策は増税により中間所得層を圧迫している。
 ゼネストはアルゼンチン最大のナショナルセンターである、アルゼンチン労働総同盟(CGT)が行なった。CGTのウーゴ・モシャノ書記長は、フェルナンデス大統領の夫であったキルチネル前大統領とは盟友の関係にあったが、2010年に同氏が死亡した後、後を引き継いだフェルナンデス大統領とは関係が悪化している。政府は、労働組合の行動がフェルナンデス大統領に反対するペロン党(正義者党)に歩調を合わせたもので、今回のゼネスト実施は政治闘争の色彩が濃いと評している。
 この政府発言について、しゅんせつ・航海労働組合の書記長は「政府支持の労働組合もストに参加した」と述べているのに対し、物価上昇に匹敵する27%の賃上げを実現した商業労働組合の関係者は「ゼネストは経済活動を悪化させる」として批判的である。また、機械労働組合のリカルド・ピグナネリ書記長は、「これは労働組合指導者とメディア(反対派)のためのもので、労働者のためのものではない」。「政府を弱体化させる」ためにおこなわれたと主張した。ペロン党との関係で数十年続いた労働組合支配に批判的な人も多い。
 アルゼンチンでは2002年の財政破たん以来、公共料金が500%の値上がりを見せているが、フェルナンデス政権は財源を電気・ガス・水道料金の引き下げに使うより、住宅ローンの補助や大学奨励金、貧者への福祉に充てたい方針である。ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(Cepal)の報告では、アルゼンチンは人の発展の分野で堅固であると評価されているが、国際通貨基金(IMF)はアルゼンチン政府の収入の分配政策を批判している。
 とどまることを知らぬ物価上昇と、大幅なペソの下落による経済の先行き不安、生活不安から、小規模だが数百のストライキが発生し、3月だけで656件の街頭デモが起きたといわれ、社会不安が高まっている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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