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No.238(2014/4/24)
メキシコにおける労働運動の地殻変動

 メキシコの労働組合事情は複雑で、政党との関わりもあり、特異な歴史を持っている。メキシコの政治は2000年まで71年間、制度的革命党(PRI)が大統領、議会を支配してきたが、PRIは労働組合を政党組織に組み込むことで安定した労使関係と選挙の基盤を築いてきた。そのPRIのパートナーがナショナルセンターであるメキシコ労働組合連盟(CTM)で、巨大な勢力をメキシコのほとんどの工場や職場で維持してきた。戦後の混乱期や成長期には労働者の賃金を生産性の上昇を超えない水準に維持し、ストライキもなくインフレなき成長に寄与し、国家コーポラティズムともいうべき体制は機能してきた。組織的に言えば、CTMの組合は経営側と保護協約を結ぶことで他の組合の結成を防いで強力な基盤を構築してきた。
 しかし一部の企業では労使なれ合いのもと、労働条件の改善に不熱心な労働組合指導者も現れ、労働組合の退化現象に組合員の反感が表面化する工場も出てきた。
 2012年7月6日、メキシコにおける自由な労働組合結成に対するバリアーを長い闘争の末に突破し、ディメンションメタル社(DMI)に金属労働組合(STIMAHCS)が結成された。これには二回の投票と何回かの裁判闘争が伴った。
 最初の労働組合結成投票は2010年10月8日に行なわれ成功したが、既存の労働組合(CTM)の異議申し立てで取り消された。2012年7月4日、連邦仲裁調停委員会は7月6日に再投票を行なうように裁定し、既存労働組合の妨害を乗り越え、ほぼ100%の組合員の支持で新労働組合が誕生した。このケースは経営側が中立を保ち、新労働組合結成に一切干渉しなかったことも幸いした。
 2014年4月10日付けインダストリオールのニュースによると、サン・ルイ・ポトシ工業団地に位置し、輸出専用ビールのコロナ・エクストラビールのボトリングを行なっている、サン・ポトシグラス社の独立組合SUTEIVP(Sindicato Unico de Trabajadores de la Empresa Industria Vidriera del Potosi )組合員約850人は、2007年の闘争でこれまでの中で最大19%の賃上げを獲得した。しかし、会社の反発は強いものがあり、これまでの既存の労働組合(CTM)に取って代わる独立労働組合は受け入れがたいとした。会社側はCTMに代わってSUTEIVPが労働条件を変える能力を削ぐために報復措置として労働者を解雇してきた。
 解雇された労働者は家族の献身的な支えを受けながら「後戻りはできない」をスローガンにメキシコ国内はもとより国際的な連帯を受けながら闘ってきた。解雇撤回闘争は常にインダストリオールによるメキシコの労働基本権回復決起キャンペーンの中で取り上げられてきた。ILO結社の自由委員会へ苦情提訴も同時に行なわれ、3年前に近い将来解決すべしとの政府への指令があった。
 独立労働組合の解雇労働者の復職に加えて、連邦仲裁調停委員会は「会社は労働者の復職にあたって、解雇される前の仕事、地位、勤続期間を補償しかつ解雇期間の賃金を補償すべしとの裁定を下した。
 今や、問題は親会社グロポ・モデラ社の担当役員の責任となっており、解雇された労働者の法による補償の他、解雇期間の累積された全ての賃金を払わなければならない。

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