バックナンバー

No.236(2014/4/17)
フィンランドとオランダの労働事情

 国際労働財団は、2月19日、フィンランドとオランダの組合リーダーを招き、「働き方を含めたこれからの生活モデルとそれを支えるセーフティネット」をテーマに国際シンポジウムを開催した。このシンポジウムに参加した2ヵ国の報告についてその概要を紹介する。

【フィンランド報告-家族政策を中心としたソーシャルセーフティネット-】
 フィンランド労働組合中央組織(SAK)のエコノミスト、イルッカ・カウコランタ氏から、ソーシャルセーフティネットの目的とその必要性について報告がされた。
 ソーシャルセーフティネットには、家族政策、教育助成、老齢給付等があるが、これらの政策によって雇用を促進し経済を成長させることが可能であり、その結果本来の目的である貧困の解消、家族の支え、幸福につながるものである。
 家族の幸福を実現し、雇用の平等を推進するためには、家族政策の最終的な目標であるジェンダー平等の実現が必要である。母親も父親も育児休暇の取得が可能なこと、それによって職場でも家庭でもジェンダー平等が生まれると考えている。雇用を促進するという観点からも、女性の才能を職場で活かすことが必要である。女性を使わないということは、それは人材を無駄にすることである。女性が働くことによって、両親ともに平等に収入を得て、生活の安定につながり、家事も分担することで幸せな家庭が築かれると考える。
 フィンランドの家族政策のひとつである育児休暇(休業)は、母親、父親、両親と3つ(計12ヵ月)に分かれており、手当は休暇前の75%が支給される。その後の育児休暇についても手当は下がるものの、子供が3歳になるまで継続することが可能である。また、継続せず子供を保育所に預けて働くことも可能である。保育所については、全ての子供が低コストで保育サービスを受けることが可能であり、日本のような待機児童の問題はない。

【オランダ報告-安定雇用のパートタイマー労働と不安定雇用問題-】
 オランダ労働組合連盟(FNV)執行委員のヨシー・ドゥ・ラング氏から、激しい経済変動の中で変わりつつある雇用情勢について報告がされた。
 オランダ経済の大きな問題のひとつに、住宅価格の下落がある。住宅価格は2010年から50%近く下がり、この結果家計の債務が大幅に上昇した。また、こうした経済危機は、年金基金にも大きな影響を及ぼしている。
 オランダの人口は1670万人。就労人口は840万人、労働力率は77%と高い水準にある。その働き方の特徴は、男性、女性ともパートタイム労働の比率が高くなってきていることである。夫婦で週4日ずつ働くというのが理想のライフスタイルであると言われている。また、同一(価値)労働同一賃金が法律、あるいは労働協約で保障されている。すなわち女性でも男性でも、年齢にも関係なく、同一労働は同一賃金ということになる。
 このように無期契約のパートタイマーとして働く労働者は、パートタイム労働者のうち65%を占めている。この働き方は不安定な労働ではないが、残りのパートタイマーは不安定雇用である。週の労働時間が12時間未満で、雇用期間も大半が有期契約であり、あるいは派遣労働である。また、労働時間を特定しない「ゼロ時間契約(雇用主の求めがあった場合のみ働き、労働時間が未定の契約)」の労働者もいる。これらの働き方は、雇用、収入とも非常に不安定なものとなっている。こうした短時間のパートタイム労働に就いている労働者は、もっと長時間働きたいと希望している。そして、教育も受けて仕事と収入を安定させたいと思っている。なお、この短時間パートタイマーに就いている労働者のほとんどは、女性や移民であり、学生である。
 有期契約労働、派遣労働のようなフレキシブルな労働を、我々労働組合は不安定労働と呼んでいる。労働組合としては、これらを安定的な無期契約による労働に変えていきたいと考えている。すなわち均等な待遇を目指していくことである。以前は有期契約の最長期間は3年間であったが、これが制限され最長2年間となったことは、大きな変化である。また、ゼロ時間契約の問題や名ばかり自営業の問題も解決していかなければならないと考えている。

各国の詳細報告は、
フィンランド
http://www.jilaf.or.jp/rodojijyo/europe/north_europe/finland2013.html
オランダ
http://www.jilaf.or.jp/rodojijyo/europe/west_europe/nederland2013.html

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.