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No.235(2014/4/11)
オバマ大統領が管理職と専門職への残業代支払い検討指示

 オバマ大統領は、労働省に対し管理職や専門職への残業代支払いの大統領令による行政的法改正を指示する。この権限は1938年の公正労働基準法に基づくものだが、労働省が法制化する前に公聴会などの手続きが必要となる。
 法改正が実現すると、数百万人のファストフード管理職、金融ローン管理職、コンピューター技術者などが150%の残業代の支払いを受けることになる。
 この点についてオバマ政権は、企業利益が増加しているにもかかわらず一般賃金水準が停滞している現状を改めるための格差解消策の一環としており、最低賃金を7.25ドル(約748円)から10.10ドル(約1042円)への引き上げ提案と方向を一にする。
 同時に、こうした提案は今年秋の中間選挙に向けて、中間所得層を育成するという民主党の政策を国民に訴える方策ともなるが、実業界と共和党による反撃が必至である。
 1980年代以降、一株あたりの企業利益は第2次大戦以降最高の水準に達しており、2009年の景気後退終了宣言以降、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500の企業利益も倍増を見ている。反面、同期間の一般賃金は停滞を続けており、国民所得に占める賃金のシェアは史上最低を記録して2012年は42.6%に低下した。
 アメリカでは従来「管理職」「基幹事務職」「専門職」の3つの職種が管理職とされてきたが、管理職かどうかの認定は企業の判断に任され、恣意的に運営されている場合が多くなっている。管理職や専門職とみなされる労働者は残業代支払いの対象からはずされているが、労働の95%を床掃除や棚の整理に費やして、5%を部下の監督に使っていても企業が管理職とみなせば、残業代は出さないで済む。ただし2004年の改定で、週給455ドル(約4万6487円)以下の管理職には残業代を支払うことになった。
 法改正は、こうした労働者が行う最低限の"EXECUTIVE(管理監督責任)"を明らかにさせようとしている。また週給の最低金額も問題で、2004年以降の物価上昇も考慮に入れる必要がある。その点、カリフォルニア州では週給640ドル(約6万6003円)、ニューヨーク州では600ドル(約6万1878円)が残業代支払いの最低線だが、2016年にはそれぞれ800ドル(約8万2504円)、675ドル(約6万9613円)に引き上げることになっている。
 さらに、こうした法改正の担当部署は労働省の賃金時間管理局であるが、局長はオバマ大統領就任以降不在であり、局長候補のボストン大学のウェイル教授が未だ議会の承認が得られず、承認待ちのままでいる。

*1ドル=103.13円(2014年4月7日現在)

失業保険支給延長法案、ようやく上院で可決、下院はこれから

 2013年12月末に、ジョージ.W.ブッシュ政権時代から継続されてきた緊急失業報酬延長法 (EUCEA)が期限切れとなり、2百万人に及ぶ半年以上の失業者に対する失業保険が打ち切られたままとなっており、上院議会は1月7日にこの法を延長させることを検討するかどうかの投票を行ない、60対37票で検討するとの結論に至った。その後、上院民主党と共和党は双方が提示した案を拒否され、動向が注目されていたが、このほど共和党5議員の協力により、ようやく上院で承認された。
 延長は昨年末から起算して5ヶ月間で、資金の100億ドル(約1兆313億円)は、出入国手数料の引き上げと民間企業の年金基金運営費から捻出される。
 延長について賛成したスーザン・コリンズ共和党上院議員は、「6ヶ月以上も仕事が見つからなかった理由と、別の仕事を探す職業再訓練を受けたかどうかなどが明らかにされなければならない」と述べたとおり、受給要件が強化される。また、職業技術考課試験と職業紹介サービスも今まで以上に拡充される。さらに実際にあったケースだが、年間総合所得100万ドル(約1億313万円)以上の者への支給は停止する。
 しかしEUCEAの継続をめぐっては、過去に幾度も議会で議論されてきており、共和党優勢の下院議会での承認にはかなりの困難が予想されている。

*1ドル=103.13円(2014年4月7日現在)

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