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No.229(2014/2/19)
ウクライナ情勢と労働法改正

【EU統合をめぐり国政が混乱】
 ウクライナのキエフでは、ロシア寄りのヤヌコビッチ政権に対する抗議デモが続いている。EU統合を支持するデモは、昨年11月から始まり、新たにデモ規制法が制定されたことで勢いを増した。こうした中で、アザロフ首相は1月28日、国内各地で続く反政権デモの混乱の責任を取って辞任すると表明し、全閣僚が辞表を提出、内閣は総辞職するなど、政治・社会情勢は混迷を深めている。
 以上がマスコミで報道されている内容であるが、ウクライナの労働法改正についても労働者の基本的な権利を無視した許し難い内容となっている。この点について、2013年11月15日に行なわれた当財団招聘事業におけるユーラシアチームの労働事情を聴く会から、ウクライナ自由労働組合総連盟(KVPU)のナタリア・クーハルさんの報告を紹介することとする。

【労働法改正における労働組合の主張】
 ウクライナの労働法の改正は、2006年頃、国際労働機関(ILO)がイニシアチブをとり草案に改正を加えた結果、当初は非常に建設的な改正案が提案された。しかし、その後、議会の代表が交代したことなどもあり、法律の改正案に次々と変更の手が加えられた。この労働法の改正案を改悪しようとする勢力は、大企業のロビー活動により影響を受けた者である。こうした改悪の結果、改正案は我々にとっては受け入れ難い代物となった。
 2013年4月23日に提案された改正案の改訂版の中に第318項がある。その項目は、ロックアウトを法律化するというものである。その内容は、ストライキ参加者は解雇され、そして、ストライキによって企業が機能しなかったことに対する損失を、労働者が自腹で弁済しなければいけないと明記しているものである。こうした改悪に対して、ウクライナ自由労働組合総連盟は、さまざまな対抗措置やマスコミを通じての抗議行動など、活発な闘争を展開してきた。また、ILOの専門家や、国際労働組合総連合(ITUC)にも助言を求めてきた。このようなさまざまな組織と一緒に協力し、闘争を進めた結果、第318項は削除されることになった。
 その後、2013年8月27日に、この改正案に新しい項目が提案された。この新しいバージョンでは、ストライキを行なうか行なわないかということに関しては、裁判所の判断に委ねると書きかえられた。しかし、この問題は労働者の基本的な権利に関するものであり、KVPUにとっては受け入れがたいものであると考えている。したがって、私たちはこれらの新しい項目を排除する方向で、国会議員とも連携して取り組みを進めている。
 現在、ウクライナの労働法改正案の中で行なわれようとしている改悪の内容については、残念ながら既に幾つかの私営企業の中で実践されている。企業はローカルな規則を勝手につくり、労働者がその企業に採用されたときにその労働者に署名を強いている。労働者は署名を拒否できるが、ウクライナでは膨大な数の失業者(ILO基準で8%)がいるために、企業が提示した規則に署名をせざるを得ないのが現状である。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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