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No.223(2014/1/15)
警官のストライキでアルゼンチン全土に略奪多発

 アルゼンチンのインフレ率は、民間コンサルタント会社8社推計は前年同月比25.8%の上昇となったが、政府統計では前年同月比10.5%の上昇とされた。民間調査機関(EFGR&A)は、独自のインフレ率の作成・公表について政府から罰金を命じられ、行政訴訟を行なっていたが、原告勝訴が確定した。
 インフレによる物価上昇に生活が追いつかないとして、アルゼンチン各地の警察官が大幅賃上げを要求してストライキを行なった。ストライキは10以上の州で1週間続き、略奪事件が多発。警官、店主、略奪者など8名が死亡、数千人の負傷者が出た。あるスーパーマーケットではトラックが2回にわたり戻ってきてテレビなどが略奪された。
 こうした事態を打開するため、初任給を倍増して月額8000ペソ(約12万6904円)にするなどが合意されたが、いまだにストライキは続いており、国民は身の安全の危険にさらされている。
 クリスチナ・フェルナンデス大統領は、経済財務相と中央銀行総裁を交代し、批判をかわそうとしているが、30年前に軍事政権から民主政権に移行した12月10日の記念日に演説し「恥ずべき略奪、またこのような警察官の行為はまことに遺憾だ。野党の中にもこの混乱を利用しようとするものがいる」と糾弾した。
 アルゼンチンは過去10年間の急激な経済成長が止まって、大幅な物価上昇に見舞われており、貧困者は生活にあえいでいる。国民はより自らの資産を守るために安定した通貨である「米ドル」への交換を希望するが、アルゼンチン政府は法人と個人の両方に対して預金目的で米ドルを購入することを禁じる施策をとったが、レートは悪くとも確実に換金できるブラックマーケットに人が集まり、巨額の「地下マネー」が流通し、不正なマネーロンダリングや犯罪の資金への転用が懸念されている。
 そうした中、教員労働組合など各労働組合は賃金引き上げの要求を強めており、年初に協約交渉を控えて更なる社会不安が起きる可能性がある。

*1ペソ=15.863円(2014年1月8日現在)

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メルマガNo.195 (http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/195.html)

サッカー・ワールドカップの建築現場でストライキ

 今年のサッカー・ワールドカップが開催されるブラジルのスタジアム改修現場でストライキが起きた。ここはブラジル南部のクリチバ市の会場で、スペインなどのチームの試合が予定されているが、工期は大幅に遅れている。市長によれば、原因は賃金遅配で、1200人労働者のうちの3分の1が参加、すでに3日間続いている。当局は遅配が1日としているが、労働者は1ヶ月になると述べており、工事に関わる業者が原因との見方もある。
 また、工期遅延と賃金遅配について関係者は、「お役所仕事によって、2012年6月に予定した州開発銀行からの融資が6ヶ月も遅れた。当初予算が8000万ドル(約83億4320万円)から1億1500万ドル(約119億9335万円)に膨れ上がったこともこれに拍車をかけている」と述べている。
 また、辺境開発を目的に税の減免措置があるため、30社以上の日系企業が進出しているブラジル北部アマゾン川流域のマナウス市の建設現場では、転落事故が起きて5人目の死亡者が出た。労働者側は「建設現場の安全性はゼロ。常に工事を急がせようという重圧を受けている」と訴え、ストライキを行った。昼夜を問わず工事を進める中でのアクシデントで、作業日程はさらにずれ込む可能性があり、世界が注目する6月のワールドカップ開催に向け、建設工事に関わる労働安全衛生課題が浮き彫りになっている。

*1ドル=104.29円(2014年1月7日現在)

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