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No.219(2013/12/18)
イリノイ州民主党政権が年金カットを提案

 リーマンショック以来財政が悪化した米国地方自治体では、公務員の年金カットに踏み込んでいるが、オバマ大統領の立候補地であり、知事も民主党である巨額の財政赤字に悩むイリノイ州の民主党政権が公務員年金の削減を提案し全国から注目されている。
 提案内容は年金物価調整手当ての一部削減、支給開始年齢の引き上げ、そして高額所得者へ年金限度額の設定である。同時に年金は団体交渉事項からはずれ、公務員は401kのような確定拠出制度も選べるが、給与の1%を年金基金に納入することになる。イリノイ州の年金基金の赤字は現在1000億ドル(約10兆2290億円)億に達しているが、この制度改定により30年間で1600億ドル(約16兆3664億円)が節減できるとしている。
 しかし、改定で年金受給者が失う平均的減額は5年間で数千ドルになると予測され、公務員の年金は多くの法律で守られているため、地方自治体労働組合(AFSCME)は「阻止できなければ、法廷闘争に訴える」と述べている。
 赤字財政に悩む多くの地方自治体先で公務員年金が焦点になっているが、今年7月に破産申請したデトロイト市も、年金基金未納額が35億ドル(約3580億円)に達しており、カリフォルニア州サンノゼ市でも、リード市長(民主党)が年金削減を禁じている州法改定の必要を述べている。

*1ドル=102.29円(2013年12月3日現在)

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米国上院が議事妨害(フィリバスター)制限法を成立

 日本では、議会の野党が定められた規則の範囲内で議事の進行を意図的・計画的に妨害するため、質問攻めや牛歩戦術など様々な議事妨害が行なわれるが、アメリカの上院では立ったまま演説をする限り、どんな内容でも時間制限なく演説を続けられるという伝統があるため、フィリバスター(FLB)戦術が行なわれてきた。
 9月には共和党茶会系のテッド・クルーズ上院議員が、オバマケア凍結を目的に、ほとんど人のいない上院議場で21時間にわたる演説をして、共和党議員からも批判を浴びた。
 これまでオバマ大統領が指名した全国労働関係委員会(NLRB)委員などの任命を妨害するため、米国上院でFLBを多発している共和党に対し、民主党が痺れを切らした。ハリー・リード民主党上院総務は、数十年にわたる伝統を破って、核(nuclear)オプションと呼ばれる手段を行使し、FLBを制限する法律を52対48で成立させた。審議には全議員の100人が出席したが、民主党から3人の反対が出た。
 共和党は特にオバマ大統領になってから主要人事の任命妨害を多発しており、それまでの60年間に20件に過ぎなかったFLBがこの5年間ですでに30件に激増、今後も増え続けようとしている。
 そのような中でリード院内総務は、核オプション行使を示唆しながら、共和党に対し数回にわたりFLB乱用中止を迫ってきた。FLBは前共和党上院議員であったヘーゲル現国防長官指名にも使われており、また、最重要といわれるDCアピール裁判所判事指名にも行われたことから、今回の採決強行となった。
 この制限法は過半数同意による論議停止を定めたが、対象となるのは低いレベルの裁判所判事や行政機関の局長、委員などで、最高裁判事や省庁長官などについては従来どおり60%、60人の同意が必要となる。この改定は歴史的にも重大なもので、1917年から1975年までは3分の2であったものが1975年に60%に変更されたが、それ以来の事になる。
 決定についてオバマ大統領は「今の議事妨害の姿は正常ではない。建国の先駆者が思い描いたものとは違う。どのような法案であれ全てを妨害して、選挙結果とは逆行するやり方を次世代に残してはならない」と述べて拍手を送った。

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