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No.211(2013/11/18)
難航するインドネシア来年度の最低賃金

 例年、10月からインドネシアでは来年度の最低賃金をめぐる政労使の攻防が激しくなるが、11月上旬には決着が図られる。ところが今年は労使の隔たりが大きく、難航している。
 労働側は昨年の実績地域により50~60%を引き上げた実績を基に、今年はジャカルタ地区で68%増の月額最低賃金370万ルピア(約3万1800円)を要求している。ジャカルタ地区の標準生活費は月400万ルピア(約3万4400円)とジャカルタ州副知事が言っていることを考えると要求は妥当と労働側は主張するが、68%増という増率に経営側は強く反発している。
 連合の大会に招かれたインドネシア労働組合総連合(CITU)サイード・イクバル会長は、現行のジャカルタ地区最賃220万ルピア(約1万8900円)を隣国と比べると、フィリッピン280万ルピア(約2万4000円)、タイ320万ルピア(約2万7500円)であり、インフレが進行していることを考えると妥当な要求だと強調した。
 経営者協会(アピンド)は、労働組合が要求するジャカルタ地区での370万ルピア(約3万1800円)が通ると、労働集約的企業の倒産が多発し、外国からの投資が滞ると主張する。イスカンダル労働移住大臣は「労働組合は自分たちの会社の支払い能力を斟酌し、解雇や倒産が生じないように考慮すべき」と語っている。10月30日に開催される予定だったジャカルタ地区最低賃金委員会は労働組合委員がボイコットし、市庁舎の前で労働側の抗議大規模集会が開催された。委員会では生活必需品60品目のベンチマークで229万ルピア(約1万9600円)が提案される予定だったが労働側は84品目の生活必需品を基に270万ルピア(約2万3200円)以上を要求した模様だ。
 10月31日、政労使3者構成の労働委員会全体会議で、アピンドは220万ルピア(約1万8900円)の2014年最低賃金を提案し、労働側提案である290万ルピア(約2万4900円)に対抗した。ジョコ・ウィドドジャカルタ首都特別州知事は労働委員会での二つの提案を踏まえ、ジャカルタ地区での2014年最低賃金として、11%増の244万ルピア(約2万900円)を裁定した。これに労働側は強く反発し、市庁舎の前で集会を連日開催し、全国規模でストとデモに入り工場の操業率は低下している。この背景には、ブカシ市が最低賃金を昨年の210万ルピア(約1万8000円)から2014年最低賃金を290万ルピア(約2万4900円)へ裁定していることから、ジョコ・ウィドドジャカルタ首都特別州知事が裁定を撤回すると労働側は読んでいる。
 リアウ州では報酬委員会では、40~50%増を求める労道側と経営側が鋭く対立したが、2014年最低賃金を21.4%増の170万ルピア(約1万4600円)と裁定した。これはほぼ標準生活費(172万ルピア(約1万4700円))を満たす水準だ。
 北スマトラ州は2014年最低賃金を10%増の150万ルピア(約1万2900円)と裁定し、労働側は最低限50%増が必要と反発している。

*1ルピア=0.0086円(2013年11月11日現在)

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