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No.199(2013/10/4)
イギリス労働組合会議(TUC)会長に初のアジア系英国人を選出

イギリス労働組合会議(TUC)の第145回大会が2013年9月8日~11日、イングランド南部のボーンマスで開催され、大会最終日に新TUC会長にモハンマド・タジ氏が選出された。1868年結成のTUC史上初のアジア系イギリス人で、イスラム教徒がTUC会長に選出され話題になっている。
 モハンマド・タジ氏はパキスタン生まれで、1966年、14歳の時に英国に移民した。1974年から公共交通のバスの運転手をしていたことから運輸一般労働組合(T&G's)の組合員となり、1982年にショップスチュワード(職場代表)に選出された。後にアフリカ系やアジア系イギリス人および少数民族委員会委員長に選出され、T&G'sの執行評議会委員を務めた。T&G's はTUC傘下最大の全国組織Unite the Unionに統合されたが、2001年よりTUC総評議会委員に選出されている。TUC会長としてチュニジアやエジプト、イラクなど極めて危険かつ劣悪な環境下にある労働組合に手を差しのべたいという抱負も述べている。
なお、TUCの会長は毎年9月に開かれる大会で選出され、次回大会の議長を務めて任務を終える。
 

バングラデシュの安全協定署名を訴える

 TUC大会に来賓として出席した、バングラデシュの全国衣料労働者連盟(NGWF)のアミール・ハク・アミン会長は、バングラデシュで起きた衣料品工場などが入るビルの崩壊よって多数の労働者が犠牲になったことに触れ「あの惨事から4か月半以上になっている現在でも約100人の負傷者が病院におり、さらに500人以上の3歳から8歳の子供が、両親や母親や父親をあのビル倒壊で失い不安な日々を送っている。このような悲劇が繰り返されないためにも安全協定にまだ署名していない英国の8企業に対して、署名に応じるよう英国内での運動を推進してほしい」と大会参加者に訴えた。
 一方、大会檀上に立ったファッションブランド企業も組織範囲にもつ商店流通関連労働組合(USDAW=43万人)のジョン・ハネット書記長は「バングラデシュの惨事は偶然起きた災害ではなく、利益至上主義の直接の結果である。工場の建物と、労働者の労働条件の査察を保障する安全協定に多数の英国企業も署名しているが、署名に応じていない企業に対しては要請行動を強化していかなければならない」と述べた。さらに「安全協定の実行主体はバンブラデシュの組合にある。不買運動を口にする人もいるが、現地の低賃金と危険な労働条件は、低価格商品を求める西欧諸国の消費者に原因があるわけではない。低価格の衣料品をボイコットしても現地の衣料品工場労働者の利益にはならない」と、バングラデシュにおける労働条件の改善の重要性を訴えた。
 ハネット書記長はTUC大会期間中にアミン会長とも会談したが、アミン会長のNGWFは、安全協定署名推進運動を国際的に推進している国際産業別労働組合組織(GUF)のIndustriALLに加盟しているのに対し、ハネット書記長のUSDAWはもう一つの安全協定署名推進組織であるUNIグローバルユニオンに加盟。ハネット書記長自身はそのヨーロッパ地域組織(UNI Europa)の商業部会委員長でもあり、安全協定署名促進にはヨーロッパレベルでも取り組んでいる。TUCは、まだ署名していないイギリス国内の8社に対して、インターネットを通じた署名要請全国キャンペーンを開始した。

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参考資料:TUC大会短信
 

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