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No.198(2013/10/2)
メキシコ教員労組が教育改革に反対してメキシコ空港などでロードブロック

 ペニャニエト大統領政権が実施する教育改革に反対して、数千人の教職員がメキシコシティーの国際空港をロードブロックした。このため旅客は自分で荷物を運ぶなどを余儀なくされた。教員たちは空港のほか議会への道路を封鎖するなど市内各所で座り込みを行い、市民たちの賛同を得るべく、業績評価の導入と教員労働組合の権限を削減する教育改革に反対を訴えている。
 これらの教員は急進派の労働組合である全国教員労組総連合会(CNTE)の組合員たちで、南部諸州のオアハカ、ゲレロ、ミチョアカン州で警官隊と衝突しているが、数週間前から上京してメキシコシティー市内で座り込みを行っている。またオアハカ州では7万人の教員が8月19日からストライキに入っている。CNTEは2006年にオアハカ市を5ヶ月間にわたり占拠したこともある。
 メキシコの教育制度は経済協力開発機構(OECD)加盟34か国で最悪とされており、政府は改革を進めている。ぺニャニエト大統領は今週、教育に対する教職員組合の影響力を低下させ、教師の能力評価を義務化する改革法に署名した。内容は教員への業績評価の導入と教員労働組合が握っていた教員の採用権限を政府へ移管することを目的として、慣習となっていた教職の世襲とその際の汚職を排除するものとなっている。これに対しCNTEは業績評価が試験に重きを置きすぎるとして、生徒や両親などの要素も考慮に入れるべきこと、さらに試験は自主的な能力改善のために使われるべきで解雇や昇進・降格の手段にすべきではないと主張している。
 他方、メキシコシティーの市民の間には、南部地方の教員たちが同市で道路封鎖などを行っている事態に強い反感が広まり、当局の対応が手ぬるいとして対応に批判が高まっていたが、13日、治安部隊は、教育改革に反対して市中心部のソカロ広場に泊まり込んでいた教師らを強制排除した。赤十字によると、この衝突で少なくとも29人が負傷し、治安当局も少なくとも11人の警察官が負傷した。また、政府は「無政府主義者」29人の身柄を拘束したと発表した。
 メキシコの教員組合には主要組織である140万人の全国教員労働組合(SNTE)があり、同労働組合は教育改革を支持している。
 SNTEの中央支配に対抗する形でCNTEは1976年に創立された。また、CNTEはSNTEの前任エルバ・ゴルディジョ会長が今年2月に汚職容疑で逮捕された後に、関係者全員の捜査を要求するとともに、後任のデラトーレ現会長の選任にも反対している。また、CNTEは地方で強い影響力を持っており、SNTEの地方組織もCNTEが掲げる各種政策の支配を受けているなど複雑な関係にある。

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メルマガNo.174(2013/05/20) http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/174.html
メルマガNo.168(2013/03/18) http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/168.html

コロンビアで自由貿易反対の農民デモが暴徒化

 コロンビアの首都ボゴタで米国や韓国などとの自由貿易協定(FTA)に反対する農民デモが暴徒化して2人が死亡し、多数の負傷者を出した。
 このデモには各地で4万5000人の農民が参加して、道路を封鎖し、警察機動隊と衝突した。その後8月30日に至り学生など2万8000人の支援を得てデモは拡大した。
 このためサントス大統領は5万人の軍隊を導入して事態の沈静化を図っているが、最大労組のコロンビア労働者統一連合(CUT)の声明は「このストはサントス政権が反労働組合的で不人気な政策による状況を非難するものである」と指摘している。
 2012年に発効したアメリカ・コロンビア2国間FTAは、多大な助成金を受けているアメリカ農産品が、コロンビアの小規模農民を打ち負かし始め、2012年5月から2013年3月の間に、農業関連産業部門でアメリカのコロンビアからの輸入は11.5%増えたが、コロンビアのアメリカからの輸入は70%も急増した。農民たちは自由貿易による安価な輸入農産物への反対と肥料の価格引下げを要求しているが、サントス大統領はデモの背景には、特定の政治グループが存在すると指摘している。
 コロンビアでは今、50年間続いているゲリラとの内戦に終止符を打つべく、主要組織であるコロンビア革命軍(FARC)と和平交渉を行い、一部に合意が成立するなどの進展が伝えられている。大統領はこの交渉をさらに左翼組織の全国自由軍(ELN)とも開始する予定であるが、大統領は和平交渉に反対するグループがデモを扇動していると述べている。
 コロンビアは国際労働機関(ILO)から労働組合にとって世界最悪の国と指定されるほどゲリラの民兵組織による労組幹部の殺害・誘拐事件が多発している国で、近年その数が減少しているとはいえ、2011年には29人の労働組合員が殺害されており、和平の実現が切望されている。

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メルマガNo.17(2010/01/22)http://www.jilaf.or.jp/mbn/2010/017.html

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