バックナンバー

No.196(2013/9/27)
米国労組が組合員の減少に必死の対策

 過去100年間で最低の11.3%という組織率に落ち込んでいる米国労組が組合員の減少に歯止めをかけようと、必死の努力を傾けている。しかしアメリカ労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)のトラムカ会長は「正直言って労働者を代表する制度がすべての点で労働者のニーズに合っていない」と言う。
 こうした中で労働組合は最近、組合の無いファストフード労働者の低賃金抗議ストを全国的に支援し、在宅介護労働者や大学院助手の組織化、さらには合法化された医療用マリファナ労働者の組織化に取り組んでおり、また組合を作らせないことで有名なウォル・マートでの労組結成活動も継続している。
 ファストフード業界では今週、マクドナルドやバーガーキングなどで「7.25ドル(連邦最低賃金約716円)では生活できない」として15ドル(約1481円)が要求され、労組承認も要求のひとつとして1日ストが起きた。ストはニューヨーク、シカゴ、デトロイトから他の都市に拡がっており、国際サービス従業員労働組合(SEIU)などに支援されながら、各地に広がるワーカー・センター(WC)や各種NPO、聖職者からも賛助を受けている。
 特にWCはコミュニティーの中で組合を作れない低賃金労働者が移民問題や不払賃金、不平等な扱いなどを相談する際に力となり、時としてはストライキをも組織するもので、ファストフード店でも成功が期待されている。
 しかし実業界はWCが労働組合と類似した団体でありながら、労働法の適用を受けないで、勝手な行動に出ることを強く懸念している。WCは1990年代に全米で5箇所だったものが現在は200箇所を越えており、著名なグループも少なくない。
 この点についてAFL-CIOのクレイグ・ベッカー顧問(前全国労働関係委員会委員)は「WCは、より進んだ組織化形態であり、広く労働者の利益にかなうものだ。我々も幅広く、あまり形にとらわれない労働組合組織として、労働協約が無くても労働運動に参加できるようなものを創りたい。そして、10年前に設立されたAFL-CIOの提携組織で、いまや300万人を超えるまでになったNPOであるワーキング・アメリカ(WA)の傘下グループを増やして行きたい。WAには組合の無い労働者が僅かな会費ないし無料で集まって、政治や企業に対して最低賃金や健康保険など共通の課題について声を挙げている」と語る。
 AFL-CIOはこのほかに、今年9月の大会で環境団体のシエラ・クラブや市民権団体のNAACP(有色人種進歩協会)、ヒスパニックグループとの連携強化も打ち出す方針である。
 これに対して、実業界はますます激しく労働組合を排除しようとしているが、労働組合は新規分野での組織化に力を注いでおり、ミネソタ州では今年、州が資金援助する在宅児童介護施設の労働者12700人の組織化が法律で認められ、その動きがバーモント州やロードアイランド州にも広がった。労働組合はまた、数千人の私立大学大学院助手にも標的を当てて、「彼らは従業員ではなく学生だ」とした2004年の全国労働関係委員会の決定を覆そうと働きかけている。そのほか、コロラド州とワシントン州において、医療用マリファナの合法化に助力した全米食品商業労働組合(UFCW)が労働者3000人を組織化した。

*1ドル=98.78円(2013年9月25日現在)

過去の関連記事
メルマガNo.181(2013/06/27)http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/181.html
メルマガNo.170(2013/04/09)http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/170.html

全米食品商業労働組合(UFCW)がAFL-CIOへ復帰

  8年前にアメリカ労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)を脱退した全米食品商業労働組合(UFCW)が再加盟する方針を発表した。復帰の理由は「企業や共和党の攻勢に対抗するためには労働運動の結集が最重要」という事にある。
 AFL-CIOからの脱退は2005年に起きたが、それは組合員減少への対策が不十分だと批判したもので、脱退したサービス労組(SEIU)など7労組は勝利への変革(CTW)というナショナル・センターを結成した。しかしその後も両者はウイスコンシン州やオハイオ州などで、共和党による公務員団体交渉権剥奪や労働権制限の動きに対して、共同で反対運動を展開してきた。
 UFCWは小売業、食肉包装、食品業の130万人を擁する大労組で、復帰によりAFL-CIOは1330万人の組織となる。脱退した7労組のうちレイバラーズ労組と縫製繊維・ホテル・レストラン労組(UNITE/HERE)は近年すでに復帰しており、残るのはCTWメンバーのSEIU、チームスター労組、農業労組とCTWからも脱退した大工労組(UBCJA)の4組合である。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.