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No.194(2013/9/20)
オバマケアを嫌い始めた高額健康保険料の労組

  国民皆保険を目標とするオバマケアが2014年から本格実施されるが、全体の経費を節減する意味から、2018年から高額の健康保険料には税金がかかる。それは年間で個人10200ドル(約101万円)、家族27500ドル(約273万円)を超す健康保険料の部分について税率40%であり、キャデラック・タックスとも呼ばれる。
 現在、企業ないし公務員の健康保険の被保険者は1億5000万人といわれるが、その中の高額保険者には従来無かった税金が掛かる事になり、それは毎年大きくなる可能性が強い。
 このため、最近あらためて負担増加への懸念が強まっており、使用者側から被保険者への肩代わりを求める要請が大きくなっている。特に、2018年に上記レベルに達する高額の健康保険料は公務員に多いことから、各地方自治体は対策に頭を悩ませている。そのための努力としてニューヨーク州ではブルームバーグ知事が、州政府との事業契約継続の条件として保険会社から保険料の1年間据置という譲歩を引き出す事例も出始めた。
 他方、議会審議の過程でこの条項には反対しながらも、オバマケア法案の議会通過を優先して賛成した労働組合にも同様の懸念が広がっているが、その継続か廃案かを決めるのは共和党次第という状況にある。

*1ドル=99.56円(2013年9月10日現在)

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メルマガNo.181(2013/06/27)http://www.jilaf.or.jp/mbn/2013/181.html

労働組合経営のアマルガメイテッド銀行、ワシントンで事業を伸ばす

  国際サービス従業員労働組合(SEIU)の傘下組合にワーカーズ・ユナイテッド(WU)があり、米国唯一の労組としてアマルガメイテッド銀行(AB)を所有する。同行は1923年にニューヨークで設立され、その後国内の数箇所を含めて、1998年にはワシントンDCにも支店を開き、個人、中小企業および商業顧客のための包括的な金融サービスを提供している。
 DC進出の目的は、全国労働組合の増加に伴う議会活動と政策立案のためにDC区域の重要性が大きくなるとの判断であった。
 しかし、同行は2000年代の景気後退で数百万ドルの損失を余儀なくされ、そのため1億ドル(約99億円)の増資を行って貸付金増額に備え、IT設備も整えた。2011年には関係当局から流動性を高めることが指摘され、外部の投資会社2社から初めてそれぞれ20%の資本参加を得て、資本金を36億ドル(約3584億円)としたが、これまでに政府による救済をうけたことはない。
 こうした中で昨年の大統領選挙時に大きな転機が訪れた。それは民主党全国委員会が選挙資金をバンク・オブ・アメリカからアマルガメイテッドに移したことであり、DC支店の預金額は70%増加の1億5000万ドル(約149億円)に達した。100以上の労組やNPO、民主党関係機関が口座を開き、オバマ大統領の第2期就任資金も運用することになった。
 同行の特徴は労働組合専門に、年金基金や健康保険などを中心とする金融業務を行っていることから、窓口の行員に至るまで労働組合のニーズをよく理解していて、対応が非常にスムーズな事だといわれる。
 なお、WUには米国、カナダで繊維関係組合員10万人が加入しており、以前はUNITE(縫製繊維労組)に所属していたが2009年にSEIUに加盟した。その際に、両労組間の激しい勢力争いの渦中におかれたこともあった。

*1ドル=99.56円(2013年9月10日現在)

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