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No.184(2013/7/16)
大規模抗議デモの中、ブラジル大統領が各団体代表との対話拡げる

 ブラジルのジルマ・ルセフ大統領は、ブラジル全土を震撼させている抗議デモの拡大に対して2013年6月24日、首都ブラジリアで学生団体や労働組合、ゲイ団体など25団体との対話を行ない、大規模デモの鎮静化を図り、広範囲な政治改革に関する国民投票の実施などを提案した。
 ルセフ大統領は「今回の対話は話し合いの第一歩であり、7月8日に政府のウェブサイトを開設するなど、話し合いの場を拡げたい」と述べているが、まだ具体的な対策は出てきていない。
 ブラジルの抗議デモは、今年6月上旬にサンパウロのバスや地下鉄などの公共交通機関の料金が10%値上がりすることが発端となり、汚職や劣悪な教育・医療問題が取り上げられて全国に拡大した。その後、リオデジャネイロの『タクシー免許法』の改定や、サッカー・コンフェデレーションズカップと2014年のワールドカップ開催のため、巨額の税金が投入されている一方で、医療などの社会福祉事業への対応が低いことなどに対する不満により抗議デモが起きた。『タクシー免許法』改定に反発し、高速道路を占拠したグループに機動隊が催涙ガスを使ったことで騒ぎが拡大し、1985年の軍事政権崩壊後以来、最大の反政府デモに拡大した。6月21日の報道では、全国100都市以上で総数120万人が抗議活動に参加し、サンパウロ市だけで10万人以上が街頭をデモ行進した。
 2大都市のサンパウロとリオデジャネイロの市当局は6月19日、値上げの撤回を発表した。これに伴い複数の都市でも値上げを撤回している。最低賃金が月額3万円未満のブラジルでは、公共交通機関の運賃値上げは多くの国民にとって大きな負担となる。
 デモの状況を伝えたソーシャル・ネットワークは、7月初旬からゼネストが起きることを情報として流しており、各州で起きるデモの要求として、公共サービスの改善、汚職追放、労働時間の44時間から40時間への短縮、代替労働者の禁止などが掲げられると伝えていた。
 しかし、ブラジルの2大ナショナルセンターであるブラジル中央統一労働組合(CUT)と労働組合の力(FS)は「ゼネストは計画していないが、7月11日にスローダウン戦術を計画している」と語っていた。

デトロイト市が破産の危機、退職公務員と市債債権者が犠牲の矢面

 米国の自動車産業を担ってきた自動車の町、米国ミシガン州デトロイト市が、いま破産の危機にある。『連邦破産法』の適用が申請されれば、米国自治体の破産としては負債額で過去最大の規模となる。
 自動車産業の衰退により、デトロイト市の人口は2000年からの10年間で25%減となっている。住民や企業の郊外への流出、州の補助金の減額、不動産価値の下落などで、市の運営費や退職した職員のための年金や健康保険などの長期的な負債を支払うため、市は多額の借金をしてきた。しかし、デトロイト市は6月14日、財政破たんを回避するため、支払期限であった年金関連債務3400万ドル(約34億円)の支払いを停止し、市の発行債券償還額の大幅引き下げを提案した。
 地方財政が危機に陥ったときの特例として、労働協約の破棄など大幅な権限を持つ、緊急時財務管理者が任命され、緊急策が摸索されている。しかし、状況は債務と財政赤字が170億ドル(約1兆7000億円)にのぼり、増税などで回避できる数字をはるかに超えている。その中で市債の購入者は多額の損失を強いられ、退職公務員には年金支払いが出来なくなる状況にある。
 1975年にニューヨーク市が破産の危機にあった時は、痛みの大きさにショックを受けた市民代表や金融関係者、それまで対立関係にあった市と州当局、労働組合、財界などが市を救うためにそれぞれの負担を考え、協力関係を構築するとともに、市を管轄する立場にあるニューヨーク州が『財政緊急措置法』を制定し、州が市への介入を強めることで財政再建がはかられた。しかし、今のデトロイトにはそうした機運はない。
 市債の債権者は、市による1ドル(約100円)に対する10セント償還という提案について、かえって破産によるデフォルト(債務不履行)のほうが良いと考えるまでになっている。しかし公務員は、破産あるいは再建のどちらにせよ、年金が大きく削られる予測の中で、今までも大きな犠牲を払ってきた上に、これ以上の譲歩は認められないとしている。
 この点について、33の労働組合を束ねる対策協議会の代表である州地方自治体労働組合(AFSCME)の役員は、「市の財政悪化の責任は公務員には無い。労働組合は、赤字削減について毎年数億ドルを節減する譲歩をしたが、市はこれに対応しなかった」と述べている。
 しかし、緊急時財務管理者は6月27日、理由不明のまま議会を欠席している市議会議長を解任するとともに、数週間で期限切れとなる公務員労働組合との労働協約を破棄し、さらには赤字部門である電力の民営化を命令した。

1ドル=100.76円(2013年7月3日現在)

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