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No.180(2013/6/24)
カンボジアの縫製工場で415人の労働者が解雇され、争議に

 カンボジアの首都プノンペンの西に位置するコンポンスプー州のナイキ、ウィルソンスポーツ、ルルレモン・アトレティカの製品を生産しているサブリナ工場で今年5月、賃上げ要求でストライキに参加したことを理由に415人の労働者が解雇された。
 カンボジアの衣料・縫製関係産業は、比較的安い人件費を理由にさまざまな国から企業が進出しており、現在ではカンボジア最大の外貨獲得産業となっている。300以上の工場に約33万5400人の労働者が働いており、そのうち91%が女性である。しかし、産業が成長するに伴い、賃上げや労働条件の改善を求めてストライキなどが頻発している。
 カンボジア政府は2013年3月29日、今年5月1日から縫製・製靴企業を対象とした月額最低賃金(基本給)を、61ドル(約5786円)から23%引き上げた75ドル(約7114円)とし、基本給の他に企業が必ず支払わなければならない健康手当5ドル(約474円)を組み込み、月額合計80ドル(約7588円)にすると発表した。
 カンボジアの最低賃金は、製造業の最大セクターである縫製・製靴業の賃金を基準としており、2000年に45ドル、2007年には50ドル、2010年には61ドルと上昇し、政府は「2014年まで最低賃金の引き上げはしない」としていたが、ストライキの多発を抑えきれず、今回の改定となった。
 グローバルユニオンのIndustriALLは、加盟しているカンボジア自由労働組合(FTUWKC)の解雇問題を受け、ナイキなど各社との仲裁に乗り出した。
 FTUWKCセイ・ソクニー書記長によると、さらに労働組合のキャンペーンに対し、サブリナの経営者が特定した16人の労働者のうち8人が逮捕され、州の拘置所に移送された。経営者は、労働者にストライキの支持撤回を迫り、指紋捺印を強制している。これに対しFTUWKCは、8人の逮捕者の釈放を要求するため、数百人の労働者を工場の門前に動員した。
 サブリナ工場労働組合サン・バニー委員長は、「今年1月30日に労使で調印した協定により、多くの労働条件を改善することになっていた。しかし、経営側はこの協定を無視してまったく対応していない」と、争議の背景について語った。
 FTUWKCは、国の最低賃金が5月1日に改定されたのに合わせ、月額74ドル(約7019円)の賃金に上乗せ分14ドル(約1327円)を5月9日に要求した。しかし、これらの要求に経営側が積極的に対応しないことを理由に5月21日より7日間のストライキを決行し、約5300人の労働者のうち4000人がストライキに参加した。
 ストライキ参加者は、警棒を振り回す1000人の機動隊に激しく追いかけられ、30人を越す労働者が負傷した。さらに、妊娠していた女性労働者2人は、5月27日、警官により地面に押さえ込まれ、流産した。
 FTUWKC チーモニー委員長は、労働省の支援も得てストライキ終結のための交渉に参加したが、経営側からは何の回答も得られなかった。
 IndustriALLは、加盟労働組合との妥結と、流産した女性のための裁判を要求するとともに、逮捕された8人の労働者を即時釈放し、解雇された415人すべての労働者を職場に戻し、サブリナの経営者との真摯な話し合いにより、前向きな労使関係を築くことを提案している。

1ドル=94.8385円(2013年6月17日現在)

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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