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No.173(2013/5/9)
長引く韓国・双龍自動車の労使紛争

 韓国の双龍(サンヨン)自動車は、2009年のレイオフが原因となる労働争議が現在も続いている。
 1954年に設立された双龍自動車は、現在のGM大宇や米国のアメリカン・モーターズ(AMC)などと業務提携し、業績を伸ばしてきた。その後、双龍グループに買収され、1993年頃から経営状態が悪化しはじめ、2000年頃までは労働争議が多発していた。さらに2004年、中国の上海汽車工業が株式の49%を取得したが、2008年の世界金融危機により倒産し、法定管財企業となり、2009年には2600人にものぼる大量のレイオフを実施した。
 レイオフされた従業員の内、1900人は退職を選択し、159人は解雇され、455人は無給休職を余議なくされた。この大規模なレイオフは、ソウルの南70キロにある平澤 (ピョンテク)工場で77日間のストライキを引き起こし、何ヵ月もの間、生産が中断された。その後2011年、インドの自動車メーカーであるマヒンドラ&マヒンドラ社が買収し、株式の70%を保有することとなった。
 かつての従業員と民間活動家は、2012年4月以来ソウルの中心にあるソウル特別市庁舎の向かい側にある李氏朝鮮の宮殿である徳寿宮(トクスグン)に面する舗道上に3つのテントを張って2009年のレイオフに抗議していた。ソウル首都庁の中区役所はテントの自発的撤去を求めたが拒否したため、4月1週目に職員50人が強制的にテントを撤去した。警察はテントを撤去した時に妨害した労働組合指導者を、公務執行妨害で逮捕状を申請したが、地方裁判所は4月9日却下した。
 韓国金属労働組合(KMWU)に加盟する双龍自動車労働組合の指導者であるキム・ジョンウー氏は、『集会・デモ規制法』と公務執行妨害で4月6日に拘留された。しかし、ソウル地方裁判所ウム・サンピル主判事は、「罪状に関しては、今のところ逮捕する根拠は見当たらない」と語っている。地方裁判所が正式な逮捕状を認めなかったため、キム氏は拘留をとかれ取り調べられることになる。
 双龍自動車は、2012年の売上げが回復。赤字が減少したことで従業員を復帰させられるとして、無給休暇を取らされた455人の職場復帰については労働組合と会社側が合意し協定を締結した。しかし、退職者や解雇された従業員の職場復帰は依然として認めていない。
 政府と使用者側は今年1月、ストを実施した全国金属労働組合双龍車支部の関係者に対して、約430億ウォン(約38億8000万円)の損害賠償と労働組合幹部の賃金、退職金、不動産などの仮差押えを提起した。
 この闘争が開始されてから1500日近くとなっている。賠償・仮差押え請求訴訟は現在も進行中であり、今後の動向が注目される。

*1ウォン=0.0905円(2013年5月7日現在)

オバマ大統領が全国労働関係委員会(NLRB)に3人の新委員を指名

 オバマ大統領は2013年4月9日、全国労働関係委員会(NLRB)に3人の新委員を指名し、上院議会の承認を求めた。全国労働関係委員会(NLRB)は、1935年制定の『全米労働関係法(NLRA)』に基づいて、団結権・団体交渉権・不当労働行為の禁止など、主要な労働関係法を執行する連邦政府の独立行政機関である。任期は5年、定員は5人で、与党3人、野党2人から構成されている。
 しかし現在は、慢性的に定員割れしている状況にあり、今回のオバマ大統領の指名は、現行の2人(民主党選出)の委員に3人を加えて、委員会定員の5人を満たそうとするものである。新委員は、民主党選出が1人、共和党選出が2人となっている。
 NLRBは、今年1月にワシントンDC地区の連邦高等裁判所が議会開会時における大統領リセス(休会)権限による議会の承認なしでNLRB委員を任命したことは憲法違反だとして、現行の委員会の決定は無効だとする判決を下した。それに加え、現行の委員会は最低定員とされる3人を下回る2人であり、機能不全に陥っている。連邦高等裁判所の判決は、過去150年にわたるNLRBの諸決定をも無効にするため、大統領府はこれを不服として連邦最高裁判所に上告する予定だが、判決までにはかなりの日時がかかることになる。
 労働組合は、労使間の紛争調停、労働者保護のための重要な中央組織であるNLRBの機能が麻痺していることに対して強い懸念を示している。
 こうした中での大統領指名だが、現在のNLRBの諸決定に強い不満を持つ共和党は、リセス任命の現行委員2人の辞任が先決であり、その上で5人の選任に取り掛かると主張している。
 そして、共和党優位の下院議会では現在のNLRBによる諸決定は無効であるとする法案を4月12日に219対209で可決した。しかし民主党優位の上院ではこの法案は通らないと見られている。

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