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No.169(2013/3/26)
スリランカ繊維労働者が職の安定を求め集会

 スリランカの産業構造は、英国植民地時代より続く伝統的なプランテーションから生産される天然ゴムと紅茶で占めるモノカルチャー的な構造であった。モノカルチャー経済では特定産業以外の産業の発展が困難になるなど、多くの問題も発生していたことから、スリランカ政府は自由貿易地域を設け、繊維産業など外国企業を誘致し、労働法適用外などさまざまな特権を与えてきた。
 インダストリオールに加盟するスリランカの自由貿易地域従業員一般労組(FTZ-GSEU)は3月10日、スリランカ政府に繊維産業が維持できるように労働組合と協力することを求め、デモと集会を実施した。FTZ-GSEUは、スリランカで労働者を解雇し、賃金未払いのまま国外へ逃亡する偽装投資家に特別な注意を払うよう政府に要求した。また、スリランカ政府は繊維産業がスリランカの輸出額の60%を占めるにもかかわらず、繊維産業存続のための戦略を充分に示してないと指摘した。
 スリランカの繊維労働者は、自由貿易地域の工場で働くため、自分たちの家庭から離れ、紅茶のプランテーションの仕事を辞めるという大きな犠牲を払っている。FTZ-GSEUは、マヒンダ・ラジャパスカ大統領にこのように脆弱な労働者を守るための措置を講じるよう要求している。
 インダストリオールは3月10日のデモに参加し、世界各地で起きている繊維労働者に対する仕事を守る闘いについて、「繊維労働者が労働条件の向上を要求するとブランド企業や生産企業はその国から撤退すると脅かすという現象が世界各地で起きている。カンボジアでは、低賃金で食べることにも困る労働者の僅かな要求にも応えない。南部アフリカのレソトでは、出産休暇はわずか1週間しか認められず、出産の権利も否定されている。繊維労働者の労働条件を良くするには、ブランド企業や生産企業が逃亡しないように各国の労働組合が連帯し、より良い労働条件を要求するべく一斉に声をあげることが必要だ」と国際連帯の重要性を強調した。

ワシントンDCで大規模小売業対象の『生計賃金法』が公聴会へ

 米国 ワシントン・コロンビア特別区(ワシントンDC)の市議会において、ウォル・マートやコストコ、ホーム・デポなどの大規模小売業に対し、より高い賃金の実施を求める『大規模小売業実施義務法』の法案が公聴会に掛けられることになった。
 この法案は2013年1月、民主党のフィル・メンデルソン議員により提案されたもので、7万5000平方フィート以上の屋内面積を持ち、会社として10億ドル(約959億5150万円)以上を売り上げる小売業に対して、時給11.75ドル(約1127円)以上の賃金と諸手当の支払いを定めており、この最低賃金を上回る生活賃金は来年以降ワシントン市の消費者物価指数に連動する。
 米国の最低賃金は、『公正労働基準法』によって連邦政府が定められており、この他に州政府が定めた最低賃金もある。『連邦最低賃金法』に加えて、州によっては独自の『最低賃金法』を制定しており、そのうちいくつかの州では現在の連邦最低賃金の7ドル25セントよりも高い最低賃金を設定している。その場合は、州の最低賃金が適用される。
 また、連邦最低賃金が引き上げられて州最低賃金と同額あるいは上回った場合には、連邦最低賃金と一致させるとする州が大半であるが、コネチカット州、ワシントンDC、マサチューセッツ州などでは連邦最低賃金にプラスアルファして、常に州最低賃金が連邦最低賃金を上回るように設定するところもある。
 メンデルソン議員は過去にも3回、同様の法案を提案しており、そのうち1回は公聴会に持ち込んだが、市議会に回されることはなかった。しかし今回は公聴会を開催する事業・消費者規制委員会を管轄する市議会の議長がメンデルソン議員自身であることと、多くの共同提案議員(民主党)を抱えている点が今までと異なる。
 労働組合はもちろんこの法案を支持しているが、ウォル・マートなどは強力な反対ロビー活動を繰り広げ始めた。
 なおワシントンDCは、南北戦争当時の経験から米国50州とは切り離された特別の首都機能を持つ地域として憲法に定められ、連邦議会の直接監督は受けるがワシントンDC選出の連邦議員は存在せず、下院議会にも代議員1人を送るのみで上院議員はいない。しかし、連邦政府および連邦議会の所在地として、その影響は大きい。

*1ドル=95.9515ドル(2013年3月21日現在)

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