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No.166(2013/3/8)
スウェーデンの「強制労働」

 先進国の中でも高福祉国家といわれるスウェーデンに「強制労働」が存在した。信じがたいことではあるが、最近摘発されたケースでは、スウェーデンにおける外国人労働者の問題が浮ぼりとなった。移民の受け入れに寛大な国であり、人権擁護でも徹底しているスウェーデンで何が起きているのか。
 今年1月中旬、スウェーデンのテレビ番組で中部アフリカのカメルーンから来た労働者47人が「強制労働」を余儀なくされているという実態が報じられた。これは自国で約束された契約書の内容がスウェーデンに入って突然変更されたというのである。
 スウェーデンの大手林業企業の下請企業で植林作業をするカメルーンの移住労働者は、1ヵ月の給与1万8500スウェーデンクローネ(約26万円)と手当て6000スウェーデンクローネ(約8万7000円)の支給が約束されていた。しかし、スウェーデンに到着すると、月給ではなく非常に小額な「出来高払い」の契約書に署名させられた。このため、「もともと約束された賃金相当額を得ようと週6日間、昼夜を問わず働かざるを得なくなった。しかし、目標額にははるかに及ばず、これでは旅費とビザ取得費用のために借りたローンを返済することもできない」というカメルーン労働者の声が放映された。
 スウェーデンのナショナルセンターであるスウェーデン全国労働組合連盟(LO)は、「このような偽りの契約による作業は、まさしく強制労働である。また、外国人移住労働者の採用を使用者に任せていることにも問題がある。4年前に行なわれた規制緩和がこのように悲惨な結果を招いている。移民担当大臣は、労働者に対する数々の搾取や劣悪な労働条件下の実態を把握しているにもかかわらず、関係法の改正は必要ないとしている」との声明を発表した。
 林業労働者の産業別労働組合であるスウェーデン林業労働組合(GS)は、カメルーン労働者の問題が報じられると、即座に林業経営者団体(SLA)に交渉を申し入れ、中央での労働協約締結をめざした。中央の労使交渉は、労働組合側にとって極めて厳しい交渉であったが経営側の合意を取り付けることができ、カメルーン労働者は約束の条件による賃金が保障された。
 国際建設林業労働組合連盟(BWI)会長代行でもあるGS・ショーン会長は、「中央レベルでの約1ヵ月の交渉で、経営側は外国人労働者の労働条件改善を約束し、勝利することができた。今後、この労使協定は林業労働者すべての指針になるが、外国人労働者の雇用については中央での登録制と法的な保護が必要である。外国人労働者問題の解決策は、移住労働者の受け入れを止めることではない。国籍に関係なく公平な賃金、労働条件が保障されることである。スウェーデンに仕事を求める外国の労働者は、当該企業が労働組合との労働協約を締結しているかどうか確認することを勧める。GSも外国からの問い合わせに応じる」と述べた。スウェーデンの強制労働について国際労働組合総連合(ITUC)・バロウ書記長は、「移住労働者の搾取は容認できない。移住労働者も他の労働者と同様に人権と労働権がある」と述べた。
 スウェーデンでは2008年に『外国人法』の改正が行なわれ、企業はEUおよびスイスにおいて必要な人材を確保できない場合には、他国に求人することができるようになった。

*1スウェーデンクローネ=14.5436円(2013年3月4日現在)

コロンビア反乱勢力が和平条件にコカインの合法化を要求

 南米・コロンビアは、数百人の労働組合幹部が誘拐、殺害されており、国際労働機関(ILO) は、労働組合にとって世界で最も危険な国としている。政府と反乱民兵組織の主要勢力であるコロンビア革命軍(FARC)は、昨年10月からノルウエー・オスロで和平交渉を開始し、その後キューバの首都ハバナで交渉を継続している。
 FARCは中南米最大の反政府武装組織で、コロンビア以外にもベネズエラ、パナマ、ペルー、ブラジル、エクアドルなどの周辺国でも活動を展開し、勢力区域ではコカインの原料であるコカの栽培に課税することで軍事費を捻出している。
 交渉の中で、FARCは和平の条件の一つとして、マリファナやコカインの栽培と個人使用の合法化を要求し、「タバコやアルコールについて、過去行なわれたように若者への教育を徹底した合法化は、コカインについても可能だ」と述べている。
 これに対し、コロンビア政府および米州各国は、合法化は特にベネズエラへの密輸出を助長するとして拒否する構えであるが、薬物取引で利益を受けているFARC指導者たちが納得はしないと見られている。
 コロンビアの紛争の原因は、少数の大農場主による富裕農地の独占であり、交渉の焦点である農地改革に絡んで薬物の合法化が要求の一つになっている。
 すでにコロンビアでは、一部薬物の使用と保有が制限つきで合法化されており、ファン・マヌエル・サントス大統領も提案に受け入れる姿勢を示している。
 米国やカナダ、中南米による35ヵ国の平和と安全保障・紛争の平和解決や加盟諸国の相互躍進をうたっている米州機構(OAS)の首脳会議指導層は、この点に関する報告書を来月発表する予定である。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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