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No.164(2013/3/4)
米国労組の組織率が急落

 米国の労働組合の組織率は、1983年に全国で20.1%と高い割合を占めて以来、徐々に低下しており、2011年には11.8%、2012年は11.3%と急落し、1930年代なみに低くなっている。これは、公務員組合員の減少が大きな要因となっている。
 労働省の統計によると、労働組合員総数は40万人が減少し1440万人となったが、教員、消防士、警官などの公務員の減少が23万4000人を占めた。その中で、公務員の組織率は37%で、全体に占める公務員組合員は51%を占める。
 他方、民間部門では雇用が180万人増えたにもかかわらず、組織率は6.9%から6.6%へと減少した。
 公務員部門では、20年前から近年まで組合員が増加してきた。2011年のウイスコンシン州における公務員労働組合の『団体交渉権制限法』の導入からは大きく変化しており、昨年公務員の組合員は4万6000人減少した。また、昨年3月に労働組合加入と組合費納入を任意とする『労働の権利法』を導入したインディアナ州では公務員組合員が5万6000人減少した。全国的に見て減少の大きな理由は2008年からのリセッションによる政府の財政難であり、同年8月以来公務員は連邦段階で13万5000人、州政府段階で54万6000人減少しており、その中で教員の減少が大きい。
 さらに、労働組合全体の別の問題点は若年組合員が増えない組合員の老齢化で、55~64歳の組織率14.9%に対して16~24歳では4.2%にしか過ぎない現状がある。

カナダ労働運動が直面するもの

 カナダの労働組合組織率は、1997年の43%から現在の31%に低下したが、それでも労働組合員の賃金は非組合員の賃金を8%上回っている。昨年の時間給で言えば、労働組合員の27.36ドルに対し、非労働組合員は22.25ドルであった。同様のことが米国にも言えるが、各州における『労働の権利法』の採用などで、組織率は前年の11.8%から11.3%に低下した。
 カナダの労働組合は、組合員数、率ともに女性が男性を上回っており、公共部門の組織率が高いという特徴がある。2011 年の公共部門の組織率は74.7%、民間部門の組織率は17.5%である。なお、雇用労働者数は公共部門が360万人、民間部門が1090万7000人であるが、労働組合員数は公共部門が約269万人、民間部門が約191万人と大きく上回っている。
 組織率の低下を食い止め、組合員を増やすためには、変革する経済環境に対応する体制、特に若年層に対応する体制の整備が重要である。そのために鍵となるのは、従来見過ごされてきた農業や金融、資源、サービス産業などにおける組織化の努力である。昨年、カナダ自動車労組(CAW)とカナダ通信・エネルギー・紙労組(CEPUC)が合併して、22部門、30万人を代表する民間部門最大の労働組合を形成し、交渉力を増大させつつ、多くの資金を組織化に注ぎ込めることになった。 
 また、組織対象を学生や退職者、失業者に広げたことも伝統的な労働組合モデルの領域を超えるものである。
 企業競争の激化、政府の緊縮財政、経済成長の鈍化などが労使交渉を難しくさせているが、労働組合はこうした現実に対応しつつある。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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