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No.163(2013/2/22)
韓国の新労働政策2013

 経済協力開発機構(OECD)は2013年1月13日、「高齢化と雇用政策」に関する報告書を発表した。これによると、韓国の高齢者(65~69歳)の2011年の雇用率(人口に対する就業者数)は41%で、OECD32ヵ国の平均(18.5%)の倍以上となった。
 この雇用率はアイスランド(46.7%)に次いで世界2番目で、日本(36.1%)、米国(29.9%)、カナダ(22.6%)、英国(19.6%)など主要先進国を大きく上回っている。退職年齢は、世界で最も早い平均53歳であるが、実質引退年齢は男性71.4歳、女性69.9歳となっている。しかし高齢者向けの雇用と教育・訓練プログラムが不足しており、OECDは「高齢に入る前の50歳代半ばで再就職のための体系的な教育・訓練プログラムを受けられるよう、韓国の政府が政策的努力をしなければならない」と勧告した。
 こうした情勢を受けて韓国政府は新労働政策を2013年1月に発表した。

○能力開発再就職センターの開設
 韓国労務管理財団は、「再就職サポートセンタ―」と「高齢者専門職キャリア支援センター」を合併させ、より広範囲な雇用支援を行なう「能力開発再就職センター」を発足させた。このセンターは、40歳以上の求職者を対象に、能力開発や資金援助、人生設計など各種の相談に応じ、以下の新しい就職機会を提供する。
 1.スムーズに転職できるために、精神的な相談や生涯設計、健康と余暇の管理をする
 2.履歴書の書き方や面接試験での効果的な対応を提供し、再雇用への確立を高める
 3.事業を興す人には、各種の情報の提供や実地経験プログラムを提供し、創造性のある一人小企業をサポートする。

○高齢労働者再就職支援プログラムのスタート
 韓国雇用労働省は2013年、50歳以上の失業者を対象に再就職の機会をより増やすために、中小企業でインターシップ制度を導入するプログラムをスタートさせた。
 50歳以上の求職者をインターンとして雇用した企業には、4ヶ月間80万ウォン(6万9360円)を限度とし賃金の50%を補助する。もしインターンが正規労働者になった場合は、さらに6ヶ月間毎月65万ウォン(5万6355円)を補助する。

○雇用促進補助金受給に対する適格条件の緩和
 障害者や家計を支える女性を雇用した企業に支払われる雇用促進補助金を年650万ウォン(55万7972円)から860万ウォン(72万9656円)に引き上げ、支給方法もこれまでの6ヶ月毎に2回から3ヶ月ごとに4回支払うことになる。
 これまで雇用促進補助金は非自発的に職を変えた労働者を雇用した企業にだけ支給されたが今年からは自発的に職を代えた労働者を雇用した企業にも支給されることになった。

○最低賃金の改善
 2013年1月1日より最低賃金は、時間当たり4860ウォン(421円)へ引き上げられた。その結果、日額(8時間労働)の最低賃金は3万8880ウォン(3370円)へ引き上げられ、月額の最低賃金は週40時間の企業で101万5740ウォン(8万8064円)(4860ウォン×209時間)、週44時間の企業で109万8360ウォン(9万5227円)(4860ウォン×226時間)となった。
 最低賃金は、一時雇用の労働者や日雇い労働者、パートタイマー、外国人労働者など、国籍や雇用形態にかかわらず全ての労働者が対象となる。最低賃金除外には雇用労働省の認可が必要。

○退職金は企業の規模には関係なく法定退職金の水準へ引き上げられる
 韓国では、法定退職金制度を採用しており、『勤労者退職給与保障法』で、使用者が退職する労働者に支払わなければならない退職金の最低基準を定めている。
 2010年12月1日から2012年12月31日までは、4人以下の企業では法定退職金の50%以上を退職者に支払うことになっていた。しかし2013年1月1日より、勤続1年以上の退職者には企業の規模に関係なく法定退職金の全額が支払われる権利が付与されることになった。

1ウォン=0.0867円(2013年2月15日現在)

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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