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No.162(2013/2/5)
インドネシアの新最低賃金適用除外をめぐる動き

 インドネシアの最低賃金は、地域別に決められており、法律によって年1回、1月1日付で改定されることになっている。昨年決定した新最低賃金も今年1月1日に適用されたが、経営不振で最低賃金の支給が不可能な企業は、2年分の財務諸表の提出と従業員の同意を得ると適用除外申請が可能となるため、適用除外申請の動きが多く出てきた。
 2012年に何百万という労働者が、最低賃金の引き上げや社会保障の改善など、より良い生活への要求を訴えた。これに対して政府は、月額140万ルピア(1万3361円)の最低賃金を2013年より204万ルピア(1万9469円)へと46%引き上げた。
 アメリカ・ABC放送は1月15日、「西ジャワ州のナイキ工場では経営側が新最低賃金適用の除外申請を行なうため軍関係者を雇い、労働者に会社の申請を支持し、サインするように強要している。新最低賃金を適用してもナイキの負担増は一足1ドル相当にすぎない」と報道。労働組合や社会活動家は労働者に圧力をかける軍関係者の関与に厳しい反応を示している。
 また、ジャカルタグローブ紙も1月15日、「西ジャワ州・スカブミのナイキ工場の工場長は、新最低賃金制の適用除外を申請するため、労働者に圧力をかけた。しかし、その行為が非難を受けたため、適用除外申請を取り下げた」と報じている。
 これらの状況を受けて、米国に本拠地を置くNGO「正義のための教育」は、実態を把握するために調査を実施した。「正義のための教育」の役員は、「インドネシアにあるナイキのバンテン州・セラン市など6~7の工場でも労働者が圧力を受け、適用除外申請の動きがあったが、ナイキの労働者は当然受けられるべき権利、新最低賃金を実現した。今後、インドネシアにある40の工場で働く17万人の労働者が受けるべき権利を確保しているか、労働組合と連繋して工場ごとにチェックする」と語った。
 これに対してナイキのスポークスマンは、「ナイキの労働者に対する行動規範は明確で契約労働者でも最低限、法定最低賃金が支払われ、休日や有給休暇を含め法定福利手当や離職手当は確保されている。また、労働者への圧力については調査中である」と述べた。
 インドネシア経営者協会(APINDO)は、バンテン州、ジャカルタ首都特別州、西ジャバ州の労働集約企業40社以上が経営上の理由で新産業別賃金の適用除外申請を行なったが、そのうちの10%の企業が認められたと発表した。

出所:Indutriallニュースおよび現地紙
*1ルピア=0.0095円(2013年2月4日現在)

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