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No.149(2012/10/23)
カリフォルニアにも労働組合権侵害の動き

 ウイスコンシン州やオハイオ州などに続き、カリフォルニア州で労働組合権が侵害される動きが顕在化している。これは労働組合による政治献金を抑えようとするもので、富裕層の保守派の人々が提案して、住民投票に訴えている。
 このカリフォルニア州の住民投票は「提案32」と呼ばれ、11月6日に実施される。提案側は政治献金の制限が労働組合だけではなく実業界にもおよび、双方に平等な内容だと説明している。しかし、政治目的の給与引落しの禁止などが内容に含まれており、実施されれば労働組合への影響が大きい内容となっている。
 提案者は非営利団体(NPO)のオレンジ郡リンカーン・クラブである。この団体は、富裕層などから900万ドルの資金を集めて活動を行なっており、米国第37代大統領のリチャード・ニクソンや、俳優のジョン・ウエイン氏も会員になっていた。これに対して危機感を持った労働組合は、カリフォルニア教職員協会(CTA)を中心に3700万ドルの資金を集め、反対活動を展開しており住民投票で「提案32」が通過することがあれば法廷闘争に持ち込む構えである。世論調査では44%が提案反対、36%が賛成、19%が不明となっている。
 カリフォルニア州ではこの住民投票と同時に、民主党のブラウン知事による教育費など60億ドルの予算削減を避けるための増税提案の住民投票が予定されている。この提案を支持する労働組合は、2つの住民投票への支出の分散を余儀なくされている。
 カリフォルニア州では過去14年間に組合費の自動引落としを阻止する内容が2回提案されたが、2回とも否決された。しかし今回は企業も対象にしており、可決されればカリフォルニア州だけでなく全米に計り知れない影響が予測される。

巨額赤字の米国郵便公社(USPS)が労働組合と早期退職を協議

 巨額の赤字に苦しむ米国郵便公社(USPS)は、公社の職員が所属している最大の労働組合のアメリカン郵便労働組合(APWU)と早期退職制度について協議している。
 内容は、正規従業員の早期退職者への退職金について、来年1月の退職者には2013年5月に1万ドル、2014年5月に5000ドルの分割払いとし、合計1万5000ドルを支払うものである。APWUに在籍する事務員、技術職、運転手、守衛などを含む11万5155人が対象となるが1万5000~2万人程度が応募するものと予想される。
 USPSは今年8月の55億ドルに続き、9月末の退職者年金基金への納付56億ドルを滞納している。運営は独自に運用することとなっているが、政府からの税金投入は無く、赤字が毎年膨らむ非常に厳しい経営状況にある。
 そのため、事業再編や過去4年間で120億ドルのコスト削減、2000年以降24万4000人の人員削減、さらに[1]土曜日の配達の停止による週5日制[2]現在461ヵ所ある集配施設のうち、来年2月までに140ヵ所閉鎖、2014年2月までに89ヵ所閉鎖[3]2万8000人の人員整理[4]退職医療保険の削減[7]労働者災害制度の改定[8]事業の多角化などを計画している。しかし、この案を実行するためには議院と労働組合の合意が必要となるが、労働協約でレイオフ禁止事項を設けており、今後の協議が注視される。

*レイオフ= 米国は、先任権に基づいたレイオフ制度を用いている。企業が労働者の配置転換、昇進、解雇、再雇用、休職などを実施する場合、勤務期間の長さに従って優先的な取り扱いを認める制度。また、退職年金、離職手当、有給休暇などの諸給付についても一般に認められている。
発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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