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No.146(2012/10/10)
オキュパイ運動が活動分野を拡げて戻ってくる

 昨年9月17日、マンハッタンで「経済格差抗議運動(オッキュパイ・ウオール・ストリート運動)が始まった。その1年目に当たる今年9月17日には、デモ開始1年を記念したデモに約1000人が参加し、治安混乱容疑などで100人以上が逮捕された。
 この世界各地に拡がったオキュパイ運動は、数ヵ月にわたる内部抗争と士気の低下を経験した後、再び注目されようとしている。
 オキュパイ運動は、デモ参加者が増えることにより、環境保護から教育費の問題まで要求が多様化することで統一性が無く、指導者がいないため政治の主流にはなれないままであった。
 しかし、彼らが指摘した不平等な格差と金融界による政治への影響は、マスコミの注目を集め、政治課題として強く認識されるようになった。運動に参加した人たちは、議員たちと会談して金融改革や不景気で住宅のローンが支払えなくなった人達の家が銀行に取り押さえられるフォークロージュア(for closure)対策、労働運動の増進などに参画し、自身の銀行を設立しようとしている。このグループは、米国証券取引委員会から依頼されたボルカー・ルール(金融規制強化案)について、一般人意見書として325ページに及ぶ書簡を去る2月に提出した。このボルカー・ルールは、金融機関が自己の利益のために危険性の高い取引を行なうことを禁じる金融改革の主要部分を構成するものである。また、このグループは金融関係の主要議員メンバーとも会談し、連邦預金保険公社(FDIC)の責任者とも意見を闘わせたが、オキュパイ自身によるオキュパイ銀行の設立を計画している。 
 オキュパイ銀行は利用者と職員両者による運営を考え、透明でリスクの無い銀行にする予定である。そのため、シカゴ最大のコミュニティ・バンクの元頭取や銀行監査機関、金融専門家たちから多くの助言を受けている。
 こうした分野で活動する人数は未だに少数だが、将来はティー・パーティ(茶会党)に対抗するような組織を造ることをめざしている。永続的な影響力を維持するには献身的な活動家を増やす必要があるが、ある教授は「アナーキストや革命家を名乗る人たちは何らかの形でオキュパイに参加しているのだろう。こうした人たちが24時間、世の中を変えるために活動してゆくかどうかを見守りたい」と述べている。
 かつての本拠地であったズコッティ広場では、オキュパイグループがデモの戦術を練っているが、反対側では警官たちがその活動を監視している。ある若い女性は「オキュパイには多くの意見とビジョンが交錯して活動しているが、共通するのは"一つのNO"であり、現在の世界がわれわれのために機能していないということだ」と語った。

メキシコの『労働改革法』が下院議会を通過

 メキシコの現在の労働法は、労働関係の流動性を著しく制限する内容となっており、与野党ともに法改正が必要との見解を持っていたが、9月28日、フェリペ・カルデロン現大統領(国民行動党PAN)により『労働改革法』が下院議会に上程され、憲法改正に必要な3分の2以上の351対130の賛成を得て可決した。
 『労働改革法』については、今年7月の選挙で勝利し、12月1日に大統領に就任するエンリケ・ペーニャ・ニエト次期大統領(制度的革命党PRI)も政見に掲げていた。この法案は今後上院へと送られ、その採決の期限は10月31日となっている。
 当初のカルデロン案では、労働組合財政の外部監査の実施や労働組合結成の際の無記名投票制度が盛られていたが、第一党となったPRIの要求で削除された。反対党の革命民主党(PRD)からは激しい反対を受けたが、最終案では労働規制を緩め、労働組合の民主制を高めようとするものとなった。
 また、年功序列制度の縮小と使用者側の賠償などを伴わず容易に解雇されることなどが盛り込まれた一方、これまで日給のみで時間給概念がなかったため女性・若年者雇用を阻害していた事を、時間給を取り入れ、短時間のパートタイム労働を認めることによって、若者や米国に流出した労働力を戻すことを期待し、年間100万の雇用が生まれるとしている。
 現在、給与労働者のほとんどは日給で働いており、最低は60ペソ(5ドル)だが、健康保険や住宅手当、退職金などは保障されている。メキシコでは新規に工場を設立する際に、経営者は従順な労働組合を選択し、従業員は労働組合の名称も知らないで、すでに用意された労働協約書に署名することが多いと言われている。
 メキシコ労働組合連盟(CTM)は歴史的にもPRIを支持してきたが、労働規制の緩和には前向きなPRIが、1929~2000年まで続いた71年間の支配体制で培われたえこひいきと汚職体質からどこまで抜け出せるかが問われている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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