バックナンバー

No.142(2012/9/12)
米国東海岸で港湾ストライキの怖れ高まる

 米国東海岸の港湾労働者6万5000人を組織しているアメリカ労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)加盟の国際港湾労働者協会(ILA)と港湾の経営者団体である米国海事連盟との協約改定交渉が暗礁に乗り上げた。
 交渉の争点は、残業手当と取り扱い貨物の重量に応じて労働者に支払われる年間1万5000ドル(約117万5000円)を上回るコンテナ重量ボーナスである。
 東海岸最大規模の港湾労働者を擁するニューヨーク州とニュージャージー州の4700人の組合員によるスト権確立の投票が賛成多数を占めた。 
 これにより今年9月末に期限切れとなる労働協約をめぐりストライキの懸念が高まり、米国業界では荷貨物の積載地を西海岸に移すなどの対応を始めた。
 アメリカの港湾労働者は、東海岸はILA、西海岸は国際港湾倉庫労働組合(ILWU)に組織されている。西海岸では2002年、主たる20港で港湾労働者の大規模なストライキが発生。ロックアウトが1週間続き、80隻以上の船が寄港できず、1日に約10億ドルもの損害が発生した。これにより、現地に進出している企業は、生産ラインの停止など大きな影響を受けた。
 今回の協約改定の動向は、米国経済はもとより、現地の日系企業にも大きな影響を与えることになる。

*1ドル=78.3805円(2012年9月4日現在)

共和党の政策綱領、労組弱体化をめざす

 11月の米国大統領選挙でオバマ政権の打倒をめざす共和党は8月29日、フロリダ州・タンパで全国党大会を開き、ロムニー前マサチューセッツ州知事とライアン下院議員を党の正式な正副大統領候補に指名するとともに、政策綱領を採択した。今年の共和党大会の政策綱領には、労働組合の力を弱体化する政策が多く採択された。
 まず、ウイスコンシン州の公務員労働組合のストライキ権や団体交渉権を制限する『公務員団体交渉権制限法』が取り上げられ、州財政を破綻から救ったウオーカー知事や州議会議員などを賞賛。『公務員団体交渉権制限法』は労働組合の過大な力を弱め、財政均衡を実現するために必要であるとしている。さらに、自由経済を促進するため、現在23州で採択されている組合加入と組合費の支払いを従業員の任意とする『労働の権利法』の普及が必要だと強調した。
 また、今後共和党の大統領が誕生した場合は、公務員労働組合による個人の同意の無い政治目的の組合費の強制徴収禁止の法律整備を要求し、いかなるレベルの政府機構とも組合費徴収を行なってはならないとしている。
 さらに、現在民主党が認めている過半数署名による労働組合承認(カードチェック)を禁止し、無記名投票を義務付けている。
 この点について企業側は、労働組合結成時のカードチェックには労働組合幹部による署名の強制が起きると主張。労働組合側は無記名投票までの期間中に企業がたびたび不当労働行為に当たる干渉脅迫を行なっていると指摘している。
 また1941年に制定された『デービス・ベーコン法』(公契約法)の廃止を提案。この法律は、労働条件を規定する法律の一つで、連邦政府または連邦の補助を受けた工事において、労働者に支払う賃金と付加給付について定めている。2000ドル以上の請負工事に適用され、その地域における労働組合賃金水準を下回ってはならないと定められているが、共和党はこの法律により多額の税金が浪費されていると主張している。そして、オバマ政権が古い対立の概念と労働組合幹部への権力集中に頼っていること、民主党の影響を強く受けた全国労働関係委員会(NLRB)が法律を無視して企業を攻撃する労働組合の代弁者になっていると糾弾した。さらに教職員労働組合については、勤続年数の少ない者からレイオフしている終身雇用制を批判して、新人採用を活発化して新人の能力を活用すべきだと述べている。
 他方、アメリカ労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)などの労働組合はこうした綱領に強く反発し、「ロムニー・ライアン路線はテー・パーテー、富裕層や金融界には夢の路線かもしれないが、労働者には悪夢になる」と述べ、オバマ大統領再選に向けて全力を挙げる構えをみせている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.