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No.126(2012/5/30)
労使で震災の復興支援-UIゼンセン同盟の取り組み

 繊維や化学、流通、食品などの労働組合で構成しているUIゼンセン同盟(組合員110万人)は、昨年3月11日の東日本大震災への取り組みとして、加盟組合・組合員の災害救援はもとより、産業別労働組合として社会的使命を果たすため、被災状況の調査、被災者救援カンパや生活物資救援カンパの実施と被災自治体への搬送などに加え、「連合救援ボランティア」にも積極的に参加した。
 震災発生から半年が経過し、被災地への救援から復興に向けた取り組みへの支援を行なう必要があることから、UIゼンセン同盟は「復興対策会議」を設置し活動を進めていくこととした。
  こうした中で、加盟組合の大正紡績労働組合からの呼びかけもあり、津波による塩害で耕作ができない仙台東部の農地の再生・復活のための支援を行なう「東北コットンプロジェクト」への参加を決定し、ボランティアの派遣などを行なうこととした。
 東北コットンプロジェクトは、津波による海水を被った農地の中で排水設備が破壊され、水を使った除塩ができない農地を復活させるため、耐塩性がある「綿(コットン)」の栽培を行なうものである。
 収穫された原綿は、企業がすべて買い取り、紡績、商品化、販売を行なっていくものである。農業の震災復興をめざすこのプロジェクトは、幅広く賛同した企業、労働組合などによって2011年7月に発足。こうした企業・団体の貢献により農地を復興することで、雇用の安定に寄与するものと期待されている。
 UIゼンセン同盟は、昨年秋の綿花摘み取りからボランティアへの参加を開始したが、直前の台風により畑が水没し、残念ながら思うような収穫ができなかった。
 今年は、種まきを5月12日に80人体制で参加する予定であったが、連休中の豪雨により綿畑が水没。急遽日程を変更し、5月19日に52人が参加して、1ヘクタールの畑に種まきを行なった。
 地震によって20~80cm地盤沈下したところに悪天候が加わると作業に支障がでるため、事務局の苦労は絶えない。こうした困難な復興プロジェクトに労使で取り組む事例として紹介するものである。

製造業の統合組織「IndustriAll欧州労働組合」が誕生

 欧州レベルの産業別労連である、欧州繊維被服皮革労連(ETUF:TCL)、欧州金属労連(EMF)、欧州鉱山化学エネルギー労連(EMCEF)の統合大会が5月16日、ベルギー・ブリュッセルで開かれ、197組織、約700万人を擁する欧州産業製造業労働者連合、通称「IndustriAll欧州労働組合」が誕生した。統合大会には500人を超える代議員、来賓などが出席。この日は、奇しくもサルコジ政権の財政緊縮策に異を唱え、大統領選挙に勝利したフランスのフランソワ・オランド新大統領の就任式と同じ日であった。ヨーロッパの労働組合は、財政緊縮策に反対し雇用拡大と持続可能な経済成長を要求し、各国で一斉街頭行動などを展開しており、フランスやギリシャの選挙結果を好感している。偶然とはいえ統合大会とフランスの新大統領の就任式が同じ日に行なわれたことは、ヨーロッパの労働組合にとって今後の労働組合活動の追い風となった。
 IndustriALL欧州労働組合のウイリク・エッケルマン初代書記長は、「IndustriAll欧州労働組合の誕生は、ヨーロッパの緊縮財政策への対応など大きな進路変更を推進する強力な力となるものである。持続可能な産業の成長とより多くの雇用と雇用保障、所得と富の公平な分配を図るための強固な連帯と公平性こそ今のヨーロッパが必要としているものである。反社会的で抑圧的な財政緊縮政策は今日の欧州危機をもたらした。われわれは新たなヨーロッパ戦略を推進する闘いにそのすべての力を投入する」と宣言。
 来賓の欧州労連(ETUC) ベルナネット・セゴール書記長は、「EU諸国内の経済危機の度にわれわれの連帯が試されてきた。ギリシャに対する連帯行動は継続していかなければならない。財政緊縮政策の失敗により、スペインは非常に困難な事態に至っており、アイルランド、ポルトガル、イタリアも同様な問題を抱えている」と述べ、労働者に優しい社会構築のために団結と連帯行動の継続を訴えた。
 新組織の組織機構としては4つの政策委員会を置き、欧州域内を8つの地区に分けて運営する。団体交渉・社会政策では賃金、労働条件の向上や団体交渉の国を越えた連携・調整、欧州レベルの団体交渉の促進――があげられている。対企業政策は多国籍企業の従業員代表委員会の活動と企業の社会的責任などの取り組みである。産業政策では製造そのものの持続可能性、品質問題、資源の活用、労働条件と技能・能力開発など具体な政策を産業ごとに作成する。社会対話政策では統合された3組織が代表していた11の産業について政策調整委員会のもとで社会対話を進める。社会対話には使用者団体やEUのさまざまな機関などが含まれる。
 新統合組織の初代会長はドイツ鉱業化学エネルギー労組(IG-BCE) マイケル・バシリアデス会長、書記長にはドイツ金属産業労働組合(IG-Metall)出身で前欧州金属労連(EMF) ウイリク・エッケルマン書記長がそれぞれ99%以上の支持率で選出された。その他、書記次長3人と副会長3人も選出された。本部は国際労働組合総連合(ITUC)本部や欧州労連(ETUC)が事務所を構えるブリュッセルの国際労働組合会館に設置する。IndustriAll欧州労組はETUCに加盟するとともに、6月1日から正式に始動する。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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