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No.124(2012/5/23)
リオ・ティント社に対する鉱山労働組合の世界的な闘い
 国際的な鉱業・資源会社のRio Tinto (リオ・ティント)は、アーガイル鉱山をはじめとする大規模鉱山を所有する多国籍企業だ。2007年には、大手アルミニウムメーカーであるAlcan(アルキャン)を買収し、Rio Tinto Alcan(リオ・ティント・アルキャン)社を設立したことにより、鉄鉱石、銅、ダイヤモンド、ウラン、アルミニウム――で世界最大の生産規模を誇る。日本でも大手商社との関係が深く、リオ・ティントグループ全体の売上高の約16%(約7700億円)が日本向けとなっている。(2010年度実績)
 しかし、世界各国に鉱山や加工工場、精錬所を所有するリオ・ティント社は、現地では良き市民(グッドシチズン)とされてない。カナダ・ケベック州アルマにあるリオ・ティント・アルキャン社は2011年12月30日、全米鉄鋼労組(USW)に所属する780人に対して、外部から低賃金の非正規労働者に入れ替えるため、ロックアウトを強行した。USW組合員の時間給は34カナダドル(2700円)だが、外部の労働者はその半分程度にすぎない。カナダの精錬所は、収益性が高いため、「組合つぶし」との見方もある。
 このリオ・ティント・アルキャン社のロックアウトに対し3月31日、アルマの地に世界各国から8000人を超える労働者と支援者が結集し、抗議デモを展開した。
 また、国際化学資源エネルギー鉱山労組(ICEM)は本年4月17~18日、世界鉱山労働者会議を開き、世界各国5000万人の指導者がオーストラリア・シドニーに結集。リオ・ティント社の反労働者・反社会的行為に対して反攻に転じることを決議し、リオ・ティントは、労働者に対し残忍で非倫理的な労働に従事させ、歴史的な利益をあげている。当面、ロンドン・オリンピックのメダルには、同社の原料は使用させないことも確認された。
 また、資源大手企業に対して、[1]スイス資源大手・エクストラータや世界最大の鉱業会社であるBHP-Billiton(BHPビリトン)に対応するため、情報取得グローバルネットワークの復活[2]資源国での鉱物資源税の実現[3]ILO176号条約(鉱山における安全および健康に関する条約)の批准[4]南アフリカで発生した女性鉱山労働者の虐殺を契機とした女性に対する差別、虐待を禁止するキャンペーンの展開――などを実現させるための決議も行なわれた。
 この他にもリオ・ティント社は、インド・オリッサ州での鉄鉱石鉱山プロジェクトに20億ドル投資すると発表。しかし、インドの環境をはじめとする多くの規制をクリアできるかは疑問だ。カナダのリオ・ティント・アルキャン社の例もあり、インド・オリッサ州のインド労働者連盟(HMS)の地方組織は同社に対して、「労働者の権利を軽視しないこと」を書簡にて送付したが、今のところ返事はない。HMSの地方組織は、「オリッサ州には、インド全体の鉄鉱石埋蔵量の約34%を占めているため、外国からの投資には反対しないが、法や規制を守り、地元の賛同が必要」と強調。
 韓国最大の製鉄会社であるポスコは2005年、120億ドルの投資を計画したが、現地住民から「生計手段のキンマ葉の栽培や森林の生態系を脅かす」とのことから反対にあい、インド国家環境裁判所の裁定で撤退を余儀なくされている。
「アラブの春」その後の労働運動
 本年6月の国際金属労連(IMF)、国際化学エネルギー鉱山一般労連(ICEM)、国際繊維被服皮革労組同盟(ITGLWF)の3GUFは大統合を控えている。これにともないICEMは3月、レバノン・ベイルートで「中東・北アフリカ地域大会」をセミナーと合わせて開催した。ドイツのフリードリヒ・エーベルト財団(FES)が後援するこの会議には、アルジェリア、モロッコ、エジプト、ヨルダン、イラク、レバノン、パレスチナ、イエメンの加盟組合に加え、ベイルート、チュニジア、エジプトからも未加盟ではあるが組合の代表が出席した。エジプトからは職場レベルで新らたに結成された独立労働組合の代表団が参加。中東・北アフリカ以外ではカナダ、ノルウェー、ドイツ、南アフリカからの代表団が出席したが、ヨーロッパとアジア、東ヨーロッパ、中東間の重要な貿易中継地にあり、「アラブの春」以降も活発な経済活動で成長モデルとして注目されているトルコから大代表団が派遣された。
 また開会式にはILO現地代表、アメリカソリダリティーセンターや国際公務労連(PSI)の代表が来賓として出席した。
 会議はレバノンの受け入れ組織である、レバノン化学素材・類似製造専門職労働組合会長とICEM会長を共同議長にFESの運営協力により進められた。ICEMのマンフレッド・ワーダ書記長、IMFのユルキ・レイナ書記長も出席し、新GUFの結成に関する討論に参加した。会議の中心的な議題は、統合により新たに誕生するGUFの中東・北アフリカ地域の今後の役割にあった。「アラブの春」と政治的な大変革と数多くの新独立労組、中東・北アフリカ地域においてILO条約などの国際的な基準適用状況、特にエジプトとイラクの近況について論議が集中した。
 ILO中核的労働基準、多国籍企業に関するOECDガイドライン、国連グローバル・コンパクト、グローバル枠組み協定など、国際的な取り決めや産業別労働組合の地域的なネットワークの重要性、可能であれば企業別の地域的なネットワークの構築についても討議されたが、この組織強化策が新統合組織におけるグローバルな戦略論議に反映れることになる。
 なお、新巨大GUFの名称「IndustriALL」は6月18~20日、デンマークで開かれる結成大会で承認される予定。
発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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