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No.118(2012/4/17)
SGRA事業 タイ国際シンポジウム
国際労使ネットワークを活用した支援事業をスタート
 
 国際労働財団(JILAF)は、現在、「国際労使ネットワークを通じた組織化による草の根支援事業(SGRA )」を厚生労働省からの委託事業としてタイ、ネパール、バングラデシュ(2011年はフィールド調査)で展開している。
 この事業は、低所得者、女性、障害者など、アジアの開発途上国の社会における脆弱な人々を対象に、国際的な労使ネットワークを活用し、草の根レベルの支援を行なうものだ。タイ、ネパールでは、現地事務所を設置し、支援活動の拠点としている。
 また、バングラデシュでは、インフォーマル労働者とその家族の生活実態と支援のニーズを把握するための全国的な調査を行なった。
 
国際シンポジウムの開催 ~インフォーマル労働者の支援に向けた情報を共有~
 
 「SGRA・国際シンポジウム」は、タイ、ネパール、バングラデシュで展開するSGRA事業の経験をアジア諸国に普及させることを目的にJILAFが、2月27~28日、タイ・バンコクで開いた。厚生労働省をはじめ、アジア地域の国際労使ネットワークとして、国際労働組合総連合・アジア太平洋地域組織(ITUC-AP)、アジア太平洋経営者連盟(CAPE)、ILOなど120人が参加した。
 シンポジウムには、タイ・労働省からサソムサップ労働大臣が出席し、「開発途上国の経済発展には、インフォーマル労働者の生活水準の底上げが重要であり、SGRA事業の持続的発展を望む」と強調した。
 シンポジウムでは、[1]ILOアジア太平洋地域総局・サンドラ専門家による講演「アジアにおけるディーセントワークとインフォーマル労働者」[2]JILAFによるSGRA事業の概要[3]実施3ヵ国(タイ・ネパール・バングラデシュ)のJILAF現地スタッフならびに政労使によるSGRA事業報告[4]インド、インドネシア労使によるインフォーマル労働者の支援活動――について、報告が行なわれ、各国のインフォーマル労働者の現状とSGRA事業の活動状況について全体で確認した。
 次に「インフォーマル労働者の支援に向けて」をテーマにパネルディスカッションが行なわれ、厚生労働省・妹尾総括審議官をはじめ、ITUC-AP、タイ使用者連盟(ECOT)、ILOアジア太平洋地域総局――がパネリストとして参加し、JILAFがファシリテーターを務めた。ディスカッションでは、各パネリストより、インフォーマル労働者に向けた労使の連携や社会的保護を進める取り組みの重要性が述べられた。厚生労働省の妹尾総括審議官は「SGRA事業は、インフォーマル労働者の人たちの生活改善に向け、自律的なネットワークを作るものである。労使協力のもと事業が展開されることにより、効果的な支援が実施されることを期待する」と本事業の意義と期待を述べた。
 
今後に向けて
 国際シンポジウムでは、事業を実施したタイ、ネパール、バングラデシュの政労使とともに、その他アジア地域の労使ネットワークの代表、国際機関、専門家が参加し、それぞれの立場から、インフォーマル労働者の現状と課題について情報を共有し、支援に向けた政労使の連携についても話し合われた。
 JILAFは、2011年度のパイロット事業およびフィールド調査に基づき、今年度も引き続き事業を進め、公的サポートが行き届かないインフォーマル労働者とその家族の組織化と、それを通じて生活の改善に必要な情報や職業訓練などを提供し、生活の向上と底上げを図る。
 
 

 
  i SGRA  「国際労使ネットワーク等を通じた組織化による草の根支援事業」の英語名
 「Supporting Grass Roots Activities through the International Employer's and Worker's Network」
 の略称。

米国各州の労働法改定の動き
 米国各地では、共和党が大勝した中間選挙を受けて、同党の知事や優位となっている州議会で、民主党の支持団体である労働組合の権利制限をめざす動きが広まっていった。しかし、オハイオ州では、公務員のストライキ権や団体交渉権を制限する『公務員団体交渉権制限法』の是非を問う住民投票で、法律が成立していたにもかかわらず圧倒的多数で否決される事態も起きた。ウイスコンシン州でも同様の法案を成立させたスコット・ウォーカー知事に対して労働組合は、米国の歴史上最大のリコール署名運動を展開し、100万人以上の署名を集めることに成功し、労働法改悪の動きが止める州が出てきている。
 ミネソタ州議会では、上院・下院で多数を占める共和党が、民主党知事の拒否権を警戒することなく「労働の権利法」を制定できる状況にありながら、法案の審議が進んでいない状況だ。この法案は民間労組を対象に、労働協約の適用を受けている従業員でも、組合加入の自由と組合費納入を任意とするもの。
 これは本年が大統領選挙であること、また各州の州議会で5900人が選挙を控えており、労働組合からの反発を怖れていることが要因のひとつとされている。
 ミシガン州でも「労働の権利法」制定の動きがあるが、共和党内部で賛否が分かれている。ユタ州でも『団体交渉権制限法』制定の動きが止まる気配だ。
 その一方で、インディアナ州での「労働の権利法」の成立に刺激されて、ミズーリ州とニューハンプシャー州では法案制定の動きもあるが、アリゾナ州では『団体交渉権制限法』と組合費の徴収を1年毎の更新とする法案審議が進められている。
発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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