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No.117(2012/4/11)
パキスタン国家で労使関係法2012が可決
 パキスタンでは、『労使関係法2012』が3月14日、議会の全会一致で可決し、労使関係の安定へと前進する法案が議決された。
 パキスタンの『労働法』は2010年4月上旬、第18次憲法の修正案が国会で可決したことにより、[1]大統領権限を弱め地方政府への権限委譲の強化[2]州をまたがる労使紛争の仲裁の無効[3]ナショナルセンターや産業別労働組合は、憲法上は無効――となる結果をもたらした。この修正案の可決を受け、最高裁判所は昨年の6月2日、ナショナルセンターや産業別労働組合の登録・規制を扱う最高機関である、「国家労働関係委員会」を廃止し、労働組合は危機を迎えていた。
 労働組合および労使関係に関する法的な空白期間を補うため2011年7月17日、「労使関係条例」が公布されたが、11月17日に失効した。これに対し、労働者の抗議行動が展開され、国会は本年3月17日までその条例を延長していた。
 今回の『労働関係法2012』の成立により、危機は未然に回避された。また国家労働関係委員会の廃止も避けられ、産業別労働組合やナショナルセンターの法的地位も確立した。
 なお連合はパキスタン政府に対し、ITUCと共同で2月24日、『労働関係法』の早急な制定を要請しており、国際的な支援が実を結んだ結果と言える。
 
 

連合 労使関係条例の失効に関するパキスタン政府への要請

フォックスコン中国工場において労働条件改善を約束
 米国の公正労働協会(FLA)は3月29日、台湾の世界最大の電子機器受託生産メーカー(EMS)であるフォックスコンの中国における労働条件違反を摘発した。
 FLAは中国のフォックスコン工場において、3工場3万5000人を調査し、[1]中国政府が定めた労働基準を越える時間外労働の頻発[2]11日間の連続勤務[3]労働災害――など、少なくとも43件の労働基準法違反を発見した。調査はさらに、労働者の43%が労働災害の経験やその現場を目撃したことを報告し、労働組合が機能していないと述べている。
 アップル社はそれまで拒否していた156の部品企業名を本年1月に公表すると同時に、FLAにも加盟。また自社サプライヤーに対する独立監査をFLAに要請し、両社が協力して労働条件を改善することを約束している。
 しかしFLAの調査を監視している香港のNGOである「Good Electronics」によるとフォックスコン経営陣の労働者に対する非人間的な扱いや厳しい懲戒について見過ごしており、FLAの監視が不十分であると警告している。また学生の「実習生制度」については、実際は偽装された実習生で繁忙期の対策労働者というのが実態だ。FLAは問題だとの見解を述べた実習生制度に対して、「Good Electronics」は廃止すべきだと主張する。労働組合が機能していないとのFLAの報告には、労働条件の改善や安全衛生の向上には、民主的な労働組合が必要であり、アップル社に直接苦情を申し立てられるチャンネルを設けるべきだと強調している。離職率も異様な高さ見せており、2010年のフォックスコン深セン工場では、42万人の従業員のうち、5年間の勤続者は2万人しかいない。22万人の労働者は6ヵ月未満で離職しているのが現状だ。
 なおフォックスコンは世界のエレクトロニクス部品の40%以上を生産し、中国において120万人を雇用する中国最大の民間企業である。
改正労働者派遣法が成立、派遣労働の改善へ一歩前進
 労働者派遣法改正法案は与野党による修正を経て、2012年3月8日衆議院で可決成立した。その後、参議院で審議され3月28日可決成立した。労働者派遣法改正法案は、2010年の通常国会に提出されたものの、その後の国会審議でも成立に至らず、2年かけようやく成立した。
 最初の改正案は、リーマンショック後の世界同時不況時に、派遣労働者が一方的に雇用契約を解除されるケースが続いたため、労働者保護の観点から論議された。その主な内容は、仕事があるときだけ派遣元と雇用契約を結ぶ「登録型派遣」は、専門技術が必要な職種や高齢者を除いて禁止する。製造業への派遣も原則として禁止するという内容であった。
 しかし、2010年7月の参議院議員選挙で与党である民主党が大敗したことから、国会は衆・参でねじれ現象(参議院で与党が少数)となり、野党の反対で事実上審議がストップしていた。
 民主党は、このままでは有期雇用やパートタイマーなど他の非正規労働者の待遇を改善するための法案提出も難しくなるとの判断から、2011年11月、大幅に野党に譲歩するかたちで改正案を修正することで与野党合意が成立した。その結果、登録型派遣や製造業派遣の原則禁止を検討事項として見送られた。一方、30日以内の日雇派遣は禁止され、派遣元のマージン率の開示が義務づけられた。違法派遣の場合、派遣先企業が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだとみなす「みなし雇用制度」が法施行後3年後に導入されることとなった。この結果は、労働に対する規制緩和の流れを止めたことになり、一歩前進したものと言える。また、派遣労働者と派遣先の同種業務従事者との賃金について均衡させるよう配慮することが義務づけられた。
 今回、検討事項となった登録型派遣と製造業派遣の在り方などについては、改正法施行後1年後を目処に公労使で公正する労働政策審議会で、改めて論議されることになる。
 連合は引き続き、労働者派遣法が労働者の保護に資するよう努めるとともに、2012春季生活闘争で、すべての組合において派遣労働者等非正規労働者の労働条件改善の取り組みを展開するとしている。
発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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