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No.111(2012/3/2)
オキュパイ運動の再構築、新たな活動へ
 全米に拡大した「経済格差抗議運動(オキュパイ運動)」だが、公共施設や私有地を長期間、占領したことにより各地で運動が排除されつつある。オークランドでは警官隊と衝突し、400人以上が逮捕される事態となり、抗議運動が過激化する中で一般大衆の支持も失われてきている。こうした事態の反省から非暴力を掲げるグループが結成され、オキュパイ運動は抗議活動のあり方について再構築が求められている。
 オキュパイ運動は依然として緩やかな組織形態で展開しているが、徐々に根を張りつつあり、アイオワ州とシカゴでは事務所を設置するまでに進展している。運動の中心地であるニューヨークでは「食の公正」「芸術と文化」などを標榜する各グループが定期的にウォールストリートの中庭に集まり、14の区域では、各グループによる「協議会」も結成された。
 今のところ、名の知れた指導者はいないが、常に先頭に立つリーダーが出てきており、ある参加者は、「オキュパイ運動は、参加者が個々に違う目標をもっている。私の目標は政府を変えるための運動だ」と述べた。34都市に運動を展開するグループは、2月29日を公共の利益に反する企業に向けての「非暴力の1日運動」、5月1日は、運動のメッセージでもある「1%の富裕層が富を独占し、残りの99%が経済格差に不満」とのメッセージを取り入れ、「99%がいなくなるゼネラル・ストライキの日」とした。このほかに「競売にかけられた抵当家屋のローン再延長運動」「ホームレスへの居住場所解放運動」も展開される。
 しかし、労働組合は「オキュパイ運動はゼネラル・ストライキの日を定めているが、われわれは参加しない」と表明しており、運動が大統領選挙の熱気に埋没する恐れもある。また一般大衆の共感と根気がどこまで続くのか…。景気が回復し失業率が低下した場合、引き続き運動が支持されるかは未知数だ。
 この運動は労働組合が長期にわたり訴え続けてきた不条理な政治への怒りを3ヵ月で全国に拡大させたことであり、全米通信労組(CWA)の政治局長は「労働組合とオキュパイ運動がまたとない機会をつかんだ。このような運動がなければ国は変わらない」と述べている。オバマ大統領は公式にはオキュパイ運動を支持していないが、経済格差の是正をめざす点では一致する。
 アメリカ労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)・シルバーズ政策局長は「経済格差は依然として是正されず、公正な分配への欲求は強い。この感情が国を動かす大きな力になる。オキュパイ運動は重要な役割を果たすだろう」と述べた。
 全米自動車労働組合(UAW)やチームスター労組は、オキュパイ運動と連携して、米大統領選挙・共和党予備選挙の会場周辺で、富豪といわれるミット・ロムニー候補に焦点を当て、政策を批判する経済格差是正の抗議デモを展開している。
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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