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No.99(2012/1/20)
米国インディアナ州・労働者の権利法をめぐる攻防
 現在、米国では1947年の『タフトハートレー法』により、強くなった労働組合の権力を削ぐため、「クローズドショップ」を否定。この法律は、「ユニオンショップ協定」の内容に制限を加えつつも、労働組合が承認された職場での協約適用労働者への組合加入や組合費の徴収を認めている。
 その一方で、雇用条件として組合加入と組合費の支払いを義務づける、「組合保障協定」を定めた労働協約の交渉の禁止は州の権限としている。この規定では、23州が組合加入と組合費の支払いを義務づける組合保障協定を否定する『労働権』を憲法や州法で定めていることになる。
 このような状況の中、インディアナ州の下院議会では1月4日、労働組合の加入や組合費の支払いは従業員の任意となる、『労働の権利法』を審議するための議会が始まろうとしていた。しかし議会開催には、「100人の議員定数に対して3分の2の出席が必要」と定めていたが、多くの民主党議員が退席、議会出席者数が不足する事態となった。 
 この法案が決議されていれば、昨年の『公務員団体交渉権制限法』と同じように民主党議員が再びイリノイ州に逃避する可能性も十分に考えられる。ただインディアナ州議会の上院議会(議員定数50人)では、共和党議員37人に対し、民主党議員は13人とどまっており、有効な反対は不可能な情勢だ。
 この『労働の権利法』の審議に反対する労働者が数千人も議会に結集、抗議運動を展開した。しかし世論調査では、「賛成27%」「反対24%」「どちらともいえない48%」となっており、賛否は拮抗している。
 民間労組を対象としたこの法律は、南部および西部の22州で採用されているが、メイン州、ミシガン州、ミズーリ州では否決され、ニューハンプシャー州では2011年に、議会は承認したが3分の2の得票に満たず、民主党知事が「拒否権」を発動した。
 インディアナ州の共和党は、「この法律が労働組合の力を弱め、企業誘致を容易にする」と述べているが、賃金や労働条件を低下させ、組合員数を減少につながることは明らかだ。また労働協約の適用を受けながら組合費を払わないフリーライダーを生むことにもなる。
 プリンストン大学の調査では、この法律が採用されている22州中、ジョージア州の9%、サウス・ダコタ州の39%がフリーライダーとの調査結果もある。
 なお、インディアナ州の共和党は、「全米の注目が集まるスーパーボールがインディアナポリスで開催される2月5日までには決着したい」と強調した。しかし「NFL選手労働組合」はこの動きに反対を表明したが、現時点でどのような抗議活動を展開するかは未知数だ。
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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