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No.95(2011/12/1)
米プロバスケットリーグのロックアウトは労使で暫定合意
 米国のプロバスケットリーグ(NBA)では、収益の配分比率をめぐり労使協定の締結が難航し、リーグ側のロックアウト(施設封鎖)が137日間にもおよんだ。これに対して選手側は11月15日、「労使交渉の意味はない」として労働組合を解散し、NBAを「独占禁止法違反」での法廷闘争を展開することになった。
 最大の争点は、[1]40億ドルのリーグ収入の分配問題で、選手側は従来どおりの57%を主張し、リーグ側は30チーム中20チームが赤字で50%ずつを主張[2]サラリー上限額[3]トレード条項――等である。
 労働組合の解散という手法は、2011年初めにアメリカン・フットボール(NFL)でも選手会が取り、リーグ側が独立の個人選手に対して、独占的地位を利用しているとの訴訟戦術を行なった。
 その後の労使交渉で11月26日、焦点であった放映権料と入場料の収益配分は暫定的ではあるが労組双方が合意した。これによりNBAは12月25日に開幕し、試合数は66試合に短縮される。
労働組合と経済格差抗議運動(オキュパイ運動)との連携
 社会的・経済的格差に抗議して、苦情を訴える「オキュパイ・ウオール・ストリート運動(OWS)」がサービス労組などの大労組の支援を得て、労働運動との連携を深めている。
 労働組合がOWSの座り込みに参加するだけでなく、OWSが労働組合のピケやデモにも参加、競売会社のサザービーズやマンハッタンのレストランでは係争中の労働争議のピケにもこの光景が見られる。また労働組合は、必要資材や施設、食料の提供、医療労働者による健康診断も行なっている。
 OWS活動家が寝袋生活を送っている「マンハッタン・ズッコティ公園」では、土地所有者が清掃を理由に立ち退きを迫ったが、サービス労組(SEIU)等が数千人を同地に派遣。その後、ニューヨークAFL-CIO評議会議長による市への説得もあり、立ち退き要求は撤回された。多くの労働組合が支援デモをボストン、サクラメント、セントルイス、ロサンジェルス――で展開し、組合ホールも活動家に提供された。
 これについてAFL-CIO・トラムカ会長は「労働組合は長い間、ウォール街と経済のあり方について論議したいと思ってきたが、この運動はその道を開くものだ」と強調した。また、小売・卸売り・デパート労組(RWDSU)のアップルバウム会長も「OWSが労働組合を変えた。組合は攻撃的な言動を求めるようになり、街に出てOWS のエネルギーにふれたいと思うようになった」と述べているが、事実、伝統的なピケに頼っていた労働組合が大規模で活動的なデモ行進により大量動員を考えるようになっており、11月17日には全国的なデモ行進も行なわれた。
 労働組合はOWSの「富裕層1%と下位99%の人々」というシンプルなメッセージにも学ぶところが多く、AFL-CIOも経済的不平等を訴えるのにこのメッセージを使うよう指示を出し、通信会社のベライゾン・コミュニケーションズの労使交渉のピケには、「トップ経営者の巨額報酬と99%の一般従業員」の表現が使われている。
 バッファロー市で「オキュパイ・バッファロー」を始めたある医療労働者は、「オキュパイ運動が国の政治を変えるには、労働組合の力が絶対に必要だ。運動は若者が始めたが、それを創り上げる能力や経験は彼らにはない」と述べた。
 しかし企業側は何も知らないオキュパイ運動がピケに参加することへの疑問を投げかけた。
 オキュパイ運動の中にも労働組合の求める政治面での協力は自主的運動を阻害するとして、「労働組合は選挙でオキュパイ運動に頼ってはいけない」との意見もある。オキュパイ運動と協力する州地方自治体労組(AFSCME_)のマッケンティー会長は「活動家のエネルギーが選挙キャンペーンに向くよう期待している。ほかに選択肢はない」と語っている。
 ただ、排除する警官隊との暴力沙汰やバンクーバー市の「オキュパイ・バンクーバー」では、参加者の薬物疑惑による死亡事故が起きており、世論の一部から厳しい目が向けられている。
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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