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No.92(2011/11/16)
韓国SCファーストバンクで幹部職員の早期退職者を募集
 イギリスを本拠地とし、世界70ヵ国・1700店舗を展開する、「スタンダードチャータード銀行(SC)」の韓国部門であるSCファーストバンクは激しい変化の銀行業界において成長を維持するため経営効率の向上を図るとして「幹部クラス職員の早期希望退職約90人を2011年10月から募集する」と発表。「これは組合のストライキとはなんら関係はない」としている。 
 SCが韓国市場に進出後、幹部クラス職員に対する早期希望退職の募集は初めてのケースである。これについて会社側は、「この早期退職プログラムは100%自主的なものである。退職金は勤続年数を基に算出される」と述べている。一方、組合のキム・ジャエウル委員長は、「これは一連のストライキに対し、幹部クラス職員に責任を押し付けた、いわば強制的な首切りとなんら変わりはない。今後この早期希望退職プログラムの範囲が拡大されて一般行員までおよぶ可能性は高い」ことを強調した。
 SCファーストバンクの「個別業績給制度」導入反対ストライキを含む労使紛争は長期にわたっているが、韓国における銀行としては年功賃金制度改革をめざす初めてのケースとなっている。2ヵ月におよぶストライキの後、組合員約2500人は8月29日、職場に復帰したが、職場ではスローダウン(怠業)と散発的なストライキを展開。ストライキのためシャッターを閉めていた42支店のうち22店が再開している。しかし組合員の新賃金制度の導入に対しては反対の意思が固く、労使間の緊張が緩む様子はない。
 
 参考資料:KOILAF Labor News
インドネシア・新社会保障制度へ改正
 インドネシアで長年の懸案であった、新たな社会保障を構築するための『社会保障公法(The Social Security Provider Bill)』が10月28日、国会を通過。この法案では「社会保障公社(BPJS)」が新たに創設され、2014年に社会保障に関する活動が開始される。
 ここで具体的な内容を説明したい。すべての国民を対象とした健康保険である「BPJS-I」が2014年1月に運営を開始する。このため「Jamsostec」を含む、既存の4国営保険会社(Askes・Jamsostec・Taspen・Asabri)は、新組織に移行する。次に「BPJS-II」で労災保険や公務員年金、老齢年金を2015年7月より運営開始の予定だ。
 ここまでの道のりは大変な苦労がともなった。しかし「社会保障行動委員会」の代表を務めている、インドネシア金属産業労働組合(FSPMI)・サイド イクバル委員長が労働組合指導者として、強力なリーダーシップと不退転の決意で実現したものである。イクバル委員長は、「今後はこの法律の実行を注視して行かなければならない」と強調した。
 しかし実現に向けては、二つの大きな課題がある。それは[1]法律は具体的な対象者を明らかしておらず、露天商やバイクタクシー運転手、自営業者などインフォーマルセクターの労働者をどのように取り込むか[2]既存の4つの国営保険会社の総資産約230億ドル(約1兆8000億円)を新保険公社に引き継ぐことになっているが、既存の被保険者の取り扱いも決まってない――ことである。
 また経営者側はこの法律により、企業負担が増えることに反対し、経営者連盟(Apindo)の代表は「現在負担している保険料以上は払えない」と述べた。現行の「Jamsostec」の経営者負担が8%であることを念頭に、政府は使用者から8%、労働者からは7%の保険料の負担を提案している。
 新法自体やや拙速に制定されたため、法文自体の整合性が問題となっており、今後はどのように修正されていくかも残された課題である。
 巨大な組織となる保険公社(BPJS)の運営と非営利団体としての会計への透明性を危惧する声も出ており、透明性の確保をどのように担保するかも注目されている。
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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