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No.87(2011/10/5)
ネパール連邦民主共和国の民主化への変遷(4)
 現在、ネパールでは10年以上にわたる内戦状態が終わり、ネパール王国からネパール連邦民主共和国へと生まれ変わったが、政治や経済、教育のいずれを見ても不安定な状況が続いている。
 このような状況から国際労働財団(JILAF)では、独立ネパール労働組合会議(NTUC-I)と協同で、(1)職場の環境改善セミナー(2)労使関係セミナー(3)児童労働撲滅のための学校プロジェクト――等を展開。ネパールの地域や社会に貢献するプロジェクトを行なっている。
 今号では現地に駐在しているJILAF・和田正夫フィールドマネージャーが、ネパール情勢について報告する。
和田フィールドマネージャーからの報告
 ネパールでは、ジャラナート・カナル内閣(ネパール共産党・マルクス・レーニン主義派)が8月14日、退陣した。
 主な退陣の要因は、議会で合意されていた[1]新憲法要約事項の提出[2]平和締結のため確認事項の実施[3]主要三党による合同政府の樹立[4]現政府の解散[5]現国軍の統制のための協議の実施――等の5項目が実施されなかったことである。
 この項目で最も重要であった、三大政党(ネパール共産党・毛沢東主義派、ネパール共産党・マルクス・レーニン主義派、ネパール会議派)による連立政府の樹立ができなかったことが最大の要因だ。制憲実施の具体的な成果もなく、前首相であるマダブ・クマールよりも短い、約6ヵ月の短命政権に終わった。
 ここでもう少し具体的な理由について触れたい。これは、[1]「ネパール共産党・毛沢東主義派」のブラチャンダ党首とバブラム・バタフライ副党首が党運営で2ヵ月も対立したこと[2]「ネパール共産党・マルクス・レーニン主義派」の党首であったジャラナート・カナルも首相選挙でネパール共産党・毛沢東主義派との7項目の密約に同意し、支援を取り付け首相に選出されたが党内から強い反発を受けたこと――等である。
 ジャラナート・カナルは首相に就任したものの、首相選挙で支援を受けた「ネパール共産党・毛沢東主義派」寄りの政策を展開してしまった。これにより自らの政党である「ネパール共産党・マルクス・レーニン主義派」や「ネパール会議派」から支援されず孤立し、自身が打ち出した連立政府の樹立は達成できなかった。最後まで「ネパール共産党・毛沢東主義派」の都合に振り回され、裏切られる結果となり、首相生命を終えた。
 その後、ラムバラン・ヤーダブ大統領は、「次期首相選挙の実施は7日間の猶予を与える」として、各党では[1]三大政党による連立政府の樹立[2]首相選出の協議――が行なわれたが、3日間の延長期間を経ても何も合意することはできなかった。その後、次期首相選挙では、「ネパール共産党・マルクス・レーニン主義派」からラム・チャンドラ・ポーデル副党首、「ネパール共産党・毛沢東主義派」はバブラム・バタライ副議長が立候補を表明。ネパール制憲議会は8月28日、首相選挙(定数601議席、実際は598人による投票)を実施し、340票を獲得したバブラム・バタライが新首相に選出された。

国際労働財団(JILAF)
  ネパール・フィールドマネージャー 和田正夫

現代自動車の労使協約交渉で3年間のストライキ凍結協約を締結
 韓国の労使関係に大きな影響力を有する現代自動車労働組合は、労働協約交渉で「ストライキ凍結協定」を締結。韓国の労使は闘争と対立の歴史から調和と安定へと移行。この締結が韓国の労働組合にどのような影響を与えるか、その行方が注目される。
 現代自動車・蔚山工場で8月29日、労使代表50人の交渉団の前で、現代自動車・キム社長と現代自動車労働組合・リー委員長が労働協約に署名した。
 キム社長は「今年は労使の協力で最高の利益を計上できた。これまで労使で多くの課題があったが、新たに締結された3年間のストライキ凍結協約は、現代自動車をさらに発展させるだろう」と述べた。これに対してリー委員長は「このストライキ凍結協約を締結したことは、労使関係の発展に寄与する」と強調した。
 この労働協約交渉は6月8日から始まり、21回の交渉を重ねた結果、8月24日に取りまとめられた。現代自動車労働組合は8月26日、協約の賛否を問う組合員投票で4万4855人のうち、54.19%の賛成を得た。
 協約の主な内容は[1]9万3000ウォン(4.45%増)の賃上げ[2]300%プラス700万ウォンの成果給と特別手当[3]スト無し協約が達成された場合は自社株35株の支給――等の改善が行なわれ、さらに社会貢献資金に40億ウォン拠出する。
 また以前から論争の種であった「タイムオフ制度」は、現在237人いる労組専従者(注・会社が人件費負担)を『労働組合法』の改定にともない111人とし、その内26人は会社が人件費負担、85人は組合の負担となる。
 次に現行の「定年制度」は58歳だが、再雇用制度を1年間延長し、定年退職を59歳とする。しかし会社が必要と認めた場合はさらに1年間延長し、契約社員として再雇用。また採用については従業員の子供は、資質が親と同等ならば優先的待遇を受けられることとしている。
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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