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No.85(2011/9/6)
旭工精マレーシア・ビルマ移民労働者に不当労働行為
国際労働組合総連合(ITUC)・ニュースによると、旭工精(本社・大阪、従業員2660人中マレーシアで2500人を雇用)の主力関連企業である、「旭工精マレーシア」でビルマ人の移民労働者に対して、[1]労働基本権の侵害[2]人権侵害――等の不当労働行為が行なわれていた。
 この不当労働行為に対して、人権擁護家であるチャールズ・ヘクター氏がブログで告発したが、同社は名誉毀損でヘクター氏を告訴し、3200万ドルにもおよぶ賠償金を要求する事態となった。これに対してITUCは、「この訴訟は高額な賠償金を請求することで批判を封じることが目的である。ただちに告訴を取り下げ、同社は移民労働者の権利を尊重しなければならない」と旭工精マレーシアに強く要求。この告訴はマレーシアにおける国内企業や多国籍企業による基本的権利違反を追及する労働者の動きや言論を抑える潜在的な背景がある。
 さらにITUCは旭工精マレーシアに対し、[1]労働者の雇用時に外部業者が仲介するのではなく直接雇用とすること[2]労働と移民に関してマレーシア国内法と国際基準の遵守――等も要求。同社で働く31人のビルマ人移民労働者の処遇は、マレーシア移民時の協定賃金より低水準であり、多くの不当な賃金控除も行なわれている。移民労働者がこれらの契約違反を会社側に訴えると、同社は解雇をちらつかせて脅迫。不当労働行為を調査したチャールズ・ヘクター氏は労働者に代わり、会社側に申し入れを行なったが、回答はなかった。 
 そのため2月8日、へクター氏はブログに労働者の苦情を公開し、会社に圧力をかけたが、その6日後に旭工精マレーシアから名誉毀損で告訴された。
 旭精工マレーシアの主張する論点は、「移民労働者は第3者を通じて雇用され、われわれには責任はない」と主張している点である。同社は移民労働者に直接賃金を支給していないが、同社の管理・監督下で労働に従事しており、道具や設備も同社のものを使用している。旭精工マレーシアに雇用契約の有無に拘わらず、客観的に評価しても雇用者であることは疑問の余地がない。雇用関係の基準を定めている「ILO勧告198号」に照らしてもこの場合、雇用関係は存在する。さらに、旭工精マレーシアが移民労働者導入を依頼した外部業者は民間で雇用を扱う業者を規制するマレーシアの法律に基づいて登録されてないと見ている。
 へクター氏の裁判は、8月23~26日に始まり、ITUCは「直ちに告訴を取り下げなければならない」と同社に重ねて要請している。また同社に「契約形態にかかわらず労働者の権利を尊重し、労働者を直接雇用すること」を強調。マレーシア政府にも労働関係の状態を調査し、違法な業者に対してはすぐに行動することを要求している。
 
 参考資料:ITUCニュース
国際労働組合総連合(ITUC)
 ITUCはベルギー・ブリュッセルに本部を置く、労働組合の国際組織。労働組合間の国際協力と労働者の権利と利益を擁護し、促進することを目的とし、151ヵ国・301組織、1億7600万人の労働者が加盟。日本からは連合・古賀会長がITUC・副会長を務めている。
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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