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No.82(2011/8/1)
欧州労連(ETUC)原子力エネルギーに関する決議を採択
 欧州労連(ETUC)執行委員会が6月28~29日、ベルギー・ブリュッセルで開かれ、「原子力エネルギー:安全、保安、民主的規制」に関する決議を採択した。
 ETUCは2010年12月、「欧州エネルギー戦略に関する決議」を採択しているが、今回の決議は「東京電力・福島原子力発電所の事故」を受けてのもの。ETUCは「原子力エネルギー利用は、各主権国家の問題であるという事実に疑問を挟むつもりはない。しかし原子力の安全・保安の強化と欧州エネルギー政策は、労働組合などのステークホルダーによる論議が必要である。放射線は国境を越えて拡散していくことは、チェルノブイリと福島の教訓の一つであり、少なくとも欧州レベルでの統一した高度な原子力発電所および使用済み燃料の貯蔵などの安全基準が必要。原子力発電の安全確保はEU当局の責任である」としている。
 またETUC執行委員会は、日本の被災者に対してお見舞いの言葉を述べるとともに、[1]一般市民が放射線の被害から守られること[2]労働者が被曝した場合、完全な医療処置と十分な補償が本人とその家族に対して与えられること――を求めた。
 原子力産業とそのサプライチェーンにおけるリスクは、「他のすべての産業と同様にゼロということはあり得ない。一般市民のリスクの規模や原子力産業労働者のリスクを考えると、最大限の注意と透明性、民主的な規制をもって当たらなければならない」としている。
 具体策の特徴点を要約すると、[1]EU内におけるすべての原子力発電所と関連施設のストレステストにおいては、作業組織や労働条件など、ヒュ-マンファクターに配慮すること[2]一般市民の安全を第一に考えること言うまでもなく、現行の国際的な安全基準は必要があれば欧州レベルで強化すること[3]原子力発電所の安全に関わる内部通報者は、報復から保護されること[4]下請け労働者や派遣労働者は厳しく制限されなければならないが、もし導入する時は、特に訓練、健康・安全、労働条件、賃金においては、正規労働者と同一の扱いとする[5]原子力発電所のストレステストは、労働組合および職場代表者に情報を公開し協議を行うこと[6]ストレステストの結果および結論は、労働組合と職場代表者に提供されること――等を挙げている。
 なおEU理事会は7月19日、放射性廃棄物の管理について『放射性廃棄物および使用済み燃料に関する指令』を採択している。
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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