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No.72(2011/4/21)
フィリピン人権団体が日系企業の労組指導者殺害事件を告発
 フィリピン労働組合権・人権センター(CTUHR)は、日系企業である前野技研で労働組合を結成したセリト・ボカシィの殺害事件について、迅速かつ徹底捜査することを警察当局に要請した。
 前野技研はフィリピン・カビテ州にあるダスマリナス自由貿易地域で製缶や溶接、日系企業向けの鉄鋼やステンレス製品の加工メーカーである。前野技研労組を結成したセリト・ボカシィは3月8日、帰宅途中に見知らぬ男から狙撃され、病院に搬送されたが死亡した。
 CTUHRや労働者補助センター、カビテ労働者連帯(SCW)は協働で、殺害事件の状況を調べるための「事実調査委員会」を設置し、前野技研での労使紛争の詳細を突きとめた。この調査委員会で明らかとなったことは、[1]会社側は労働組合結成後、組合の組織化・組織拡大を徹底的に妨害[2]会社側は労働者に嫌がらせや厳しい厳罰処分を科している――と報告された。
 また殺害事件から3週間以上が経過したが、犯人を特定する証人や犯行に使用された車などは見つかっておらず、捜査の行方も不透明だ。前野技研労組の組合員は、「ボカシィの殺害は彼の組合活動以外に事件の背景となる動機が見当たらない」と調査委員会で証言。この他にも事件の1週間前、ボカシィは会社から昇進の提案を受けたが、「この提案を受けたら組合指導者を務めることはできない」と提案を拒否したことが明らかとなっている。
 この事件は“労働者の生きる権利”を攻撃したもので、CTUHRのアーマンド・ヘルナンド代表は「ボカシィ殺害事件の加害者逮捕に向けて、迅速かつ徹底的に捜査が行われなければならない」と強調した。
 CTUHRはプレスリリースで、事件の見通しと前野技研労組の組合員への影響について憂慮していることを表明し、ヘルナンド代表は「組合潰しへの圧力がこの殺害事件の背景である。前野技研労組の組合員は生命の危険を感じ、恐怖におびやかされており、政府は残された組合員を守ることに全力をあげなくてはならない。また、この殺害事件の加害者をすぐに逮捕し、司法の場で裁かれることを願っている」と述べた。
 
参考資料:IMFニュース
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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