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No.70(2011/4/11)
不十分なシリア政府の改革案
 ITUCは、「シリアのアサド大統領が約束した部分的改革は、シリア全土で拡大している怒りを鎮めるものではなく、民主主義と人権を求めるとする要求を満足させるものではない」と批判した。
 シリアのデラアの町で壁に反体制のスローガンを描いた数人の児童が逮捕され、それに抗議する不穏な情勢となってから、数十人のデモ参加者が治安部隊により殺害されたという。デモがはじまってから、今なお数十人の参加者が依然として拘禁されている。また治安部隊は、ダマスカスをはじめとする全国に広がっている抗議行動の参加者に対して依然として実弾を使用し、ジャーナリストの行動を厳しく制限。
 このようなシリア情勢に対して、ITUCシャラン・バロウ書記長は「ほかのアラブ諸国と同様に、人々は基本的権利の弾圧やディーセントな雇用と将来の展望のないことに対して抗議行動に立ち上がっているのだ。今こそシリア政府は、真の労働組合の結成・加盟の権利をはじめとして、基本的権利と自由を尊重すべき時である。アサド政権は暴力的な弾圧を即時中止し、反対者と対話を開始し、正当な市民社会組織の発展を図るべきである」と述べている。
 シリア国民の大半は貧困線以下の生活を強いられており、失業率は30%を超えているとされる。1963年以来、非常事態宣言下にあり、その下で市民的権利と政治的権利が厳しく制限され、労働組合はこれまで政権の完全な管理下に置かれてきた。
 
参考資料:ITUCニュース(3月23日付)
エジプト政府の労働組合活動の抑圧に対してITUCが批判
ITUCはエジプトのシャラフ首相に対して、「いかなるストライキに対しても1年以内の投獄と9万ドルの罰金を科す」とする政令案を撤回にするよう要請した。また新しく結成されたエジプト独立労働組合連盟(EFITU)は、すでに最高軍事評議会によって承認されたこの政令案を「深刻かつとうてい受け入れられない政令案」としている。
 ITUCシャラン・バロウ書記長は「この政令の実施は革命への裏切であり、国際法で承認された基本的な権利であるストライキ権を奪うことは、労働者が経済的・社会的正義を達成するための不可欠な手段を取り上げることである」と批判。さらに「正当な労働組合活動を抑圧することは、エジプトの民主主義の構築に必要な市民社会の発展を失わせることとなる」と述べた。
 またEFITUは、労働者との対話と交渉を行うとしている、人力・移民相や財務相の努力を認めつつも、当局に対してエジプトの労働者を“臣下ではなく市民”として扱うよう要請している。
 その一方で、前ムバラク政権下で唯一のナショナルセンターであったエジプト労働連盟(ETUF)は、この政令案を歓迎している。その理由としては、「今回の政令案はETUFの支持の下でムバラク政権によって2003年度に改定された労働法に合致するものである」と指摘している。
 シャラン・バロウ書記長は「労働者は旧体制の信用の失墜した代表性のない残物(ETUF)など必要ない。勤労者は自らの労働組合を組織する能力を完全に有する。当局は過去の反民主的な慣行を止め、独立した労働組合に効果的に力を発揮できるようにすべきである」と述べた。
 
参考資料:ITUCニュース(3月29日付)
プロスポーツ選手の権利と組合化
 欧州委員会は「リスボン条約」の発効後、はじめてのスポーツ分野に関する政策文書である「スポーツにおける欧州的側面の開発」を2011年1月18日に採択した。
 この政策文書は「スポーツの社会的・経済的・組織的側面の強化」を目的としているが、「2007年スポーツ白書」をもとに作成され、この白書をもとに実施された経験と利害関係者との協議も反映されている。新たな政策文書でも広く関係者の意見交換を呼び掛けているが、労働組合も「プロスポーツ選手の利益を守る」という立場から、この社会的対話に参加している。
  「EUスポーツフォーラム」が、2011年2月21~22日、ハンガリー・ブダベストで開かれ、スポーツに関係する各国の国内組織および欧州・国際団体の代表者約200人が出席した。このフォーラムでは、[1]スポーツの社会的役割[2]経済的側面[3]スポーツ組織――などを論議し、EU委員会提案をもとに共同行動をとることに合意した。このフォーラムに出席した欧州のプロスポーツ選手の団体や「ヨーロッパ・エリートアスリート協会」は、国際オリンピック委員会(IOC)に帰属している、「アスリート委員会」の重要な役割を認識しているが、「あくまで諮問委員会であり、交渉力を持つ労働組合が必要である」と主張した。
 欧州域内のクリケットや自転車、アイスホッケーなど30の選手会は約2万5000人のトップアスリートを会員としている「ヨーロッパ・エリートアスリート協会」は、欧州域内の組合組織である「UNI-Europa Sport PRO」の結成にも参加し、国際サッカープロ選手会(FIFPro)のヨーロッパ部会と欧州労連(ETUC)とともに、プロスポーツ選手に係わる広範な共同行動を推進している。プロスポーツ選手の一市民としての権利について欧州の労働組合は同じ立場にあり「選手の自由を制限するものは一切ないはずである。選手の尊厳こそ根源的な権利であり、ヨーロッパの労働法の範疇に完全に入る」としている。
発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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