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No.47(2010/10/7)
ドイツ産業別労使関係の伝統を揺るがす新たな動き

 産別レベルの団交渉を基本としてきたドイツの労使関係に新たな動きが出てきている。ドイツの連邦労働裁判所は、2010年6月、「一企業に違った労働協約が存在しても良い」と判断を下した。これがドイツの労使に大きな論争を引き起こしている。ドイツのナショナルセンターであるドイツ労働総同盟(DGB)とドイツ使用者連盟(BDA)はこぞって労働協約の原則である一企業一労働協約に復帰することを呼びかける声明を出した。しかし、一方で職業別組合はこの決定を歓迎している。
 産業別労働協約を基本とするドイツでは、今日まで限られたセクターのみ一企業において、対象は違う複数の労働協約の締結が許されてきた。それは高い組織率と強力な交渉力をもつ運輸や医療分野の職業別組合である。パイロット組合(VC)や大学病院・医師組合(MB)、鉄道運転手組合(GDL)などがその例であるが、それ以外の産業では企業レベルでは一つの賃金協定という原則により、団体交渉が何十年にもわたって行われてきた。特殊なケースでも一つの労働協約の中で取り決めを行っている。しかし、6月の連邦労働裁判所の決定は産別労使関係の伝統を揺るがすものと産業界はみている。BDAは「従来の団体交渉システムが秩序ある団体交渉として機能しているものであり、これがなくなることは同じ企業内における労働者間の対立を生む原因になる」と懸念。職業別組合は「当該従業員の組合への関心を高め、組合の交渉力を強化することになる」と連邦労働判所の決定を歓迎する声明を出している。企業の複数労組を認めるという新たな展開に対してDGBとBDAは、『団体交渉法』の改正を共同提案している。それは、「企業内の同一グループでも特定の従業員に適用される労働協約がある場合、その事業所の大多数の組合員を対象とした労働協約が別にある時はその労働協約が優先し、その協約の有効期間中は競合組合の争議は禁止する」というもの。この共同提案は産業別労使が団体交渉権を独占することを意図するものではなく、「複数の労働協約をめぐる対立が起きた時の法的な判断をするためのもの」としているが、中央の労使団体が危惧するのは過去の例から職業別組合が強力な賃上げ交渉により産別レベルの労使交渉の秩序を乱すことであるいう。
 ルフトハンザ航空のケースでは、パイロット組合(VC)が2001年の賃上げ交渉においては2回のスト決行後も交渉が決裂し調停者が入り、最終的には高額の賃上げを獲得した。この交渉についてはいくつかの有力な産別からも批判が出ており、特に大産別組織のドイツ統一サービス労組(Ver.di)は、ルフトハンザ航空の客室乗務員と地上勤務職員を代表した賃上げ交渉を妥結していたが、その賃上げ率はパイロット組合とあまりにもかけ離れていたため、組合員から不満の声が上がり組織問題になった。同一企業に複数の組合が入ると、経営側は団体交渉を別々に行うことになるが、それ以上に経営側が懸念するのは組合間の競争により要求がエスカレイトしていくことであるという。

参考資料:eiroonline

国際産業別労働組合組織の統合に関する初めてのタスクフォース合同会議

 国際産業別労働組合組織(GUF)である国際金属労働組合連盟(IMF)、国際化学エネルギー鉱山一般労連(ICEM)、 国際繊維被服皮革労組同盟(ITGLWF)の3組織は、2010年9月20~21日、ドイツのバート・ミュンダーで組織統合に関するはじめてのタスクフォース合同会議を開催した。この会議には3組織から40人の代表が出席し、機構や財政などについて論議した。
 ICEMは3GUFによる新統合組織の組織機構について検討するためのタスクフォースを2007年のバンコック世界大会で決めている。統合すると5500万の新国際産業別組織になり製造部門における大手の多国籍企業に対しては強力な対抗力になることを望んでおり、製造部門は国家の経済を牽引しディーセントな労働条件と組合権を保障された質の高い雇用創出において役割があるとしている。この合同会議は、決議機関や地域及び部会機構に関する討議を続けるために財政問題の考察と新組織の規約の起草をはじめるための作業グループの設置を決定した。タスクフォース合同会議の論議については3組織それぞれの執行委員会に報告されるが、統合問題の論議の経過は「民主的で透明性があり、包括的な形で進められなければならない」としている。タスクフォースの次回の合同会議は2010年12月上旬にジュネーブで開かれる。


国際金属労働組合連盟 (IMF)
 組織人員 100ヵ国、200組織、約2500万
 本部 ジュネーブ

国際化学エネルギー鉱山一般労連 (ICEM)
 組織人員132ヵ国、467組織、約2000万
 本部 ジュネーブ

国際繊維被服皮革労組同盟 (ITGLWF)
 組織人員110カ国、220組織, 約1000万人
 本部 ブリュッセル

参考資料 IMF・HP 、ICEM・HP 、ITGLWF・HP

発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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