バックナンバー

No.34(2010/5/29)
中国の中核的労働基準の順守問題

 国際労働組合総連合(ITUC)はジュネーブの世界貿易機関(WTO)で、5月10~12日に開かれる同機関の「貿易政策に関する一般理事会」に向け、中国の『中核的労働基準』の順守問題で報告書を提出した。
 これは1996~2001年にかけて、シンガポールやジュネーブ、ドーハで開催されたWTO閣僚会議で行われた加盟国の取り決めやILO総会で採択された「職場における基本的原則と権利に関する宣言」など、各国がILOの『中核的労働基準』をいかに順守しているか、その実情を検証する一環である。
 報告書は中国における順守状況について次のように要約している。

結社の自由・団体交渉権
 中国は「結社の自由」「団体交渉権」に関する『中核的労働基準(第87号条約と第98号条約)』を批准していない。労働者は自ら選択する労働組合を結成する権利を持たない。法律に基づいて結成された労働組合は、中華全国総工会(ACFTU)に加盟しなければならず、その統制を受けなければならない。
 また、集団的な「賃金協議制度」は設置されているが、「団体交渉権」は「ストライキ権」と同様に、法律および慣行で制限されている。適切な意思表示の場が欠如しているため、過去に数多くの抗議行動や労働争議が発生した。全国的なストライキ件数や失業者数について、当局で認可を受けない資料を発表することは犯罪とみなされている。その結果、「労働関連問題」の公式資料がない。

雇用・職業における差別の排除
 中国は雇用および職業における差別の排除に関する『ILO条約(第100号と第111号)』を批准している。差別は法規や慣行で禁止されているが、ジェンダーにおける差別が明らかに蔓延している。女性、少数民族、HIV/AIDS患者、B型肝炎患者に対して、報酬での差別がある。また、雇用や教育、公共サービスでも差別が存在する。最近、法制度が改正されたが、農村部からの出稼ぎ労働者(農民工)に対しては制度的な差別が存在する。

児童労働
 中国は最悪な形態の児童労働の実効的な廃止に関する条約(第182号)および最低年齢に関する条約(第138号)を批准している。
 16歳以下の児童労働は禁止されているが、依然として児童労働は深刻な問題である。児童はしばしば強制的な条件で労働を強いられており、最悪の形態の児童労働に就いている。学校の主催で運営されている「労働研修プログラム」は児童に強制労働を強いるものになっている場合が多い。

強制労働
 中国は強制労働に関する条約(第29号と第105号)を批准していない。強制労働は中国では禁止されているが、民間企業では行われている。「労働キャンプにおける再教育」の名目で囚人の強制労働が行われている。人身売買犯罪者の検挙やその被害者に対する救援の面で大きな前進は見られない。

参考資料:ITUCニュース

発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.