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No.33(2010/5/26)
韓国の企業による組合専従者賃金支給の削減

 韓国では企業が賃金を支給している組合専従役員は約1万人にのぼり、1人当たりの年間賃金も約500万円であることが「韓国労使関係協会」の2010年の調査結果で明らかとなった。これは組合員150人に対し、1人の賃金を企業が支給していることになる。
 こうした慣行は一説には、過去において共産主義勢力と激しい戦いを強いられてきた韓国が、外部からの「労働組合プロ過激派」を職場から追い出し、企業内従業員のみによる組合役員が運営を行うことであり、「企業と雇用関係のない組合リーダーは認めない」との方針の下に作られたいきさつがあるとも言われてきた。しかし、こうした労使関係は国際的にもはや通用するものではなく、「韓国独特の伝統的なものであり、考えを変える必要がある」と政府や経営者の見直し論が近年高まっている。
 こうした動きの中で、この専従者賃金の問題について、政労使・三者構成による検討が行われてきたが、政府や経営側の姿勢は2010年7月1日から新たな『労働組合および労使関係調整法』の発効に向けて強まっており、労働組合側の大幅削減反対の姿勢に対し、さらに態度を硬化させている。
 韓国で最大の組合員数である「現代自動車」の会社側は、現在232人の組合専従役員の賃金を支給しているが、2010年7月1日から、約90%減の24人のみの賃金を支払うとしており、「これを組合側が受け入れなければ、ストライキに対しても受けて立つ」との強い姿勢を示している。これには『労働組合および労使関係調整法』により、「1企業の組合専従役員数を最大24人までとするとの措置が盛り込まれていることに基づく」と会社側は主張している。さらに、組合が24人以上の専従者を抱えた場合は、組合がその専従役員分の賃金を支払うことを求めている。
 こうした中で、本年5月に入り、韓国のナショナルセンターである韓国労働組合総連盟(FKTU)と韓国全国民主労働組合総連盟(KCTU)は「企業の組合専従役員数を制限する法的措置に反対すること」を決議しており、韓国の政労使関係は一段と緊張を高めている。

国際労働協力院の労務管理セミナー

 韓国労働省と国際労働協力院(KOILF)、韓国国際経済政策研究所(KEIP)は合同で、ベトナムの労働関係組織の訪問を含め、労使関係や労務関係などの活動を実行する専門家チーム(労働省・チャン国際協力局長およびリー国際局次長、KOILAF・ユン海外調査部長、KEIP・ユル研究員および他部門の専門家、ベトナム大使館の労働専門家などで構成)を結成し、ベトナムに投資している韓国企業を対象に労働問題の相談を受け、労務管理に関するセミナーを開いた。
 まず、専門家チームは、ホーチーミン市の「オリオン製菓」「韓国連合製薬」など、韓国企業を訪問し、労務管理における専門的な助言を行い、韓国人投資家向けに労務管理の手法やベトナムの『労使関係法』について、セミナーを開き、その後、「労働傷病兵社会福祉省」を訪れ、ベトナムにおける韓国企業の労使関係安定のための意見交換を行い、労務管理に関する提案を当局に行った。
 また、「韓国企業の労働問題」と題したセミナーを3月30日、ホーチーミンで開き、在ベトナム韓国商工会議所の幹部や韓国企業のCEO、人事・勤労部長など、約140人が参加した。セミナーでは[1]ベトナムにおける投資環境の変化(KIEP・クオン博士)[2]健全な労使関係への労働契約(リー弁護士)[3]ベトナム労働法の最近の修正と労働問題(ホーチーミン市 韓国総領事館・リー労働専門官)[4]ベトナムにおける労働問題におけるベストプラクティス(ファソン ヴィーナ社・リュー総務部長)――が講演を行った。

 ベトナム労働総連盟(VGCL)・Mai Duc Chinh副会長によると、現在の最大の問題は労働法や各種協約の合意に反し、労働者の合法的な権利を侵害している企業が多いことである。1995年1月~2008年9月までに全国で2600件のストライキが発生しており、そのうち外資企業が72.4%を占め、そのうち27.7%が韓国企業。 このような事態を踏まえ、専門家チームの派遣となった。

発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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