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No.31(2010/5/12)
スペインの外国人失業者の本国帰還計画

 スペインは金融危機の影響を受け、失業率が上昇している。このような状況から、スペイン政府は「失業したEU圏外からの労働者を本国に帰還させるプロジェクト」を進めており、その結果が政府から発表された。
 この計画は失業したEU圏外からの外国人失業者に一時金を支給し、自主的な本国帰還を促進するもので、プロジェクトは一定の成果をあげている。
 しかし、労働組合は、失業した外国人失業者のスペインにおける「長期在留許可更新」を認める“モラトリアム”を求めていたが、この提案をスペイン政府が受け入れなかったことを激しく批判している。
 スペインはかつて移民労働者を派遣していたが、少子高齢化の進展により、外国人労働者を受け入れる国へと変貌した。また、2005年以降、非合法に流入する外国人労働者が増加した結果、この年に、“定着”による「不法移民の合法化」が行われた。定着とはスペイン国内で働き、社会に定着していることを指している。
 政府の自主的帰還プロジェクトによると、EU圏外からの外国人失業者は給付総額の40%をスペインで受給し、残り60%は帰国後、60日以内に受給できるというもの。約1年前に導入されたこのプロジェクトは“強制ではない”。さらに旅費支援計画により、家族ともども帰還できる可能性もある。
 この計画が適用される国はスペインと「社会保障二国間協定」を締結している国に限定される。この協定を結ぶため、相手国が労働者の社会保障の権利を保証する適切な制度を持っていることが前提となる。また、帰還計画により帰国した労働者は、3年間はスペインに再入国することができない。
 世界的な経済危機がスペインを襲い経済収縮がはじまったのが、2008年第3四半期であり、スペイン労働力統計によると当時の失業率は全国で11%、外国人失業率は17%を記録した。2008年第3四半期の外国人失業率は前年同時期比で64%増。そして、2008年9月に帰還計画がスタートすることになる。対象者のうち帰還計画を受け入れた労働者は全体の10%・8724人となっており、そのほとんどが、首都マドリッドとカタロニア、バレンシアの3地域で占められている。
 帰還計画参加者への支給額は一人当たり、平均9148ユーロ・総額5200万ユーロで、対象国は南米が圧倒的に多く、[1]エクアドル(44%)[2]コロンビア(18%)[3]アルゼンチン(10%)[4]ペルー(9%)[5]ブラジル(5%)[6]チリ(4%)[7]ウルグアイ(4%)――となっている。また、旅費支援計画による旅費支援を受けた家族は3706人。
 このような帰還計画の結果について労働・移民省は、予想通りの成果であったと評価しているが、スペイン労働総同盟(UGT) とスペイン労働者委員会総連盟(CC.OO)は、「組合の提案を受け入れられなかったことは遺憾である。外国人失業者は、帰還計画を望んでいない労働者が多くいるにもかかわらず、長期在留許可の更新ができないでいる」と批判している。
 
参考資料:eironline
 

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