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No.30(2010/4/16)
イタリア労働総同盟(CGIL)大会予備討議はじまる

 イタリア最大の労働団体であるイタリア労働総同盟(CGIL)は、2010年5月5~8日、リゾート地・リミニで第16回定期大会を開催する。
 実際の大会論議は2009年末からすでにはじまっており、本大会の提案は2009年12月9日以降に順次開かれる、職場および地域大会で討議に付される。最終論議の本大会には570万人の組合員を代表する代議員1043人が出席する。この大会には2つの討議文書が提案されており、エピファーニ書記長の提案文書と信託・保険・銀行労組が提出している文書である。
 前回の大会は2006年3月に1600人を越える代議員が出席して開かれたが、2007年4月の総選挙を控えての大会であったことから、大会にはCGILが支援している中道左派の首相候補プローディ氏(前欧州委員会委員長)が出席して、「強力で責任ある組合の参加が政策実現の必須である」と訴えた。
 第15回大会の提案文書は書記長提案のみで、「国家の再構築-労働・知識・権利・自由」をメインテーマに全国的な取り組みの課題である「非正規雇用問題の闘争戦略、労働者すべての社会的保護や市民権の拡大、税制改革」について論議した。大会論議に向けてエピファーニ書記長は「イタリアの景気低迷について問題点を列挙し、この責任は5年間、政権の座にあった中道右派政権にある」とした。大会は雇用や税制、闇経済の重要問題について総選挙後の新政権が組合と対話をすることを要望していくことを決定するとともに、中道左派連合が勝利した場合の協議事項を採択した。
 近年のイタリア政治では、中道左派連合と中道右派連合の間で政権交代が行われている。1994年ベルルスコーニ政権(中道右派)、1996年プローディ政権(中道左派)、2001年ベルルスコーニ政権(中道右派)、2006プローディ政権(中道左派)、2008年プローディ政権崩壊後の総選挙の結果、ベルルスコーニ中道右派政権となっている。上院下院とも任期は5年である。
 第16回大会のエピファーニ書記長の提案文書は「経済危機の間と危機後の諸権利と雇用」と題するもので、その中には、ほかの2つのナショナルセンターであるイタリア労働組合連盟(CISL)とイタリア労働同盟(UIL)との共闘について言及している。イタリアの労働協約は「産業別全国労働協約」が中心となる。労働運動が分断されているが、賃金など重要な問題はナショナルセンターの枠を越えて交渉することの提案で、食品と情報ではすでに行われている。
 金属労働者イタリア連合(FIOM)が共同提案者になっているもう一つの文書は「われわれが求めるCGIL」と題するもので、最近の団体交渉におけるソフトラインを批判し、CGILがもっと「自立的で闘争的な交渉スタンス」も持てと主張している。しかし、両者には多くの類似点も多く、危機に対する政府の対応に関する評価や組合民主主議の在り方などには共通点がある。CGIL大会が開かれる2010年5月、ベルルスコーニ中道右派政権は3年目を迎える。

 参考資料:eironline

中国の国有企業の賃金格差

 中華全国総工会(ACFTU)・張世平 中央委員は国有企業に登録されている企業の年次報告書の分析を加えた「労働者の収入に関する特別調査」の結果を公表した。その報告によると、208の国有企業の上級役員の平均収入は低所得労働者の収入と比較して、約18倍となっている。さらに労働者の20%は過去5年間も賃金が引き上げられていないことが明らかとなった。
 張世平 中央委員によれば、この調査はACFTUとして行った労働者の収入に関する特別調査に当るもので2009年に実施され、調査結果から以下の問題点が指摘されている。

問題点1
 調査対象となっている範囲は低所得労働者が大部分を占めており、下層に属する労働者や農民工から構成されている。調査結果では対象労働者の平均月収は2152元(1元=13.5円換算で29,052円)となっており、都市部の平均労働者の収入の88%となっている。対象となっている労働者のうち、2152元以下の労働者が67.2%を占め、さらに月1000元前後の労働者が17.3%となっている。また、4.8%は数百元しか受け取っておらず、法定最低賃金以下となっている。

問題点2
 所得分配の不平等が存在する。国有企業の中でもいくつかの企業の労働者は2008年には、ほかの国有企業労働者の平均賃金よりも4.77倍も高い収入を得ていた。その格差が10倍にも達している企業もある。対象国有企業の年次報告書から分析したところによれば、208の国有企業の上級役員は低所得労働者の賃金と比較し、17.95倍である。2006年ではわずか6.72倍であった。

問題点3
 労働紛争は賃金問題に集中し、紛争件数は大幅に増えている。2009年には対象労働者のうち14.4%に賃金が支払われていなかった。2007年と比較すると10.3%増である。また、60.2%が時間外労働をしており、特に労働集約的産業や民間企業ではそれぞれ週平均51.8時間と53.16時間の労働を強いられている。その中で37.6%の労働者は時間外労働手当てを受け取れなかったか、または部分的にしか受け取ることができなかった。さらに、賃金問題に起因した労働紛争は2009年1~9月にかけて51万9000件に上り、紛争全体の36.4%を占めている。

問題点4
 中国の社会保障制度は不完全である。これは都市部の労働者でも年金加入率が62%、医療保険加入率は14.4%しかない。しかし、企業年金制度は大手国有企業では90%で実施されており、補助的福祉保障制度の役割を担っている企業年金に加入している労働者と企業年金制度がなく、企業年金に加入できない労働者との格差は拡大している。

問題点5
 所得増加率は経済成長率よりも低い。1997~2007年の10年間のGDP(国民総生産)比で政府の収入は10.95~20.57%に増加。また企業収入も21.23~31.29%に増えていた。一方、労働者の報酬は53.4~39.74%に低下した。2002~2009年間、中国は年率にして、10.13%の経済成長を果たしたが、インフレ分を調整した労働者の年次賃金が8.18%の上昇に留まっていた。また、強調したいのは23.4%の労働者の賃金が5年間で一切変化していないことからもこのことが裏づけられていたといえる。さらに、近年のインフレと住宅価格の上昇が労働者の実質的な生活水準を引き下げる原因となっていると調査は結んでいた。

参考資料:China Daily Online

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