バックナンバー

No.1(2009/09/01)

 国際労働財団(JILAF)はこのたびメールマガジンをスタートさせることになりました。事業の活動報告や情報交換ツールとして、皆さまに活用していただければと思います。

髙木理事長あいさつ
髙木理事長

 国際労働財団(JILAF)の設立20周年を迎えるにあたり、皆さまから温かいご支援・ご協力をいただいてまいりましたことに心からお礼申し上げます。
 百年に一度といわれる金融危機と世界同時不況の中にあって、2009年は日本社会にとって大きな変革の年になることが予想され、JILAFにとりましてもさまざまな観点から改革を迫られるものと思われます。
 JILAFは設立以来、一貫して“発展途上国における自由にして民主的な労働運動の強化・発展”のために積極的な活動を展開してまいりました。設立当初は7人の役・職員で招聘事業をスタートしましたが、現在は20人体制でさまざまな事業を行っています。
 2008年度は世界各国から12チーム・97人の若手労働組合指導者を日本に招き、設立からの招聘者数は2,200人以上に達しました。招聘プログラムは日本の労働運動や労使関係をはじめ、経済、政治、社会、文化――等の研修機会を提供し、日本という国を理解してもらう上で、大きな成果をあげてきたと考えています。招聘者の多くは、帰国後に労働組合のリーダーとして活躍していますし、労働分野だけではなく、政治や経済分野でも大いに活躍している人々もおります。また、1994年よりスタートした現地支援事業はアジア地域において、現地労働組合のニーズに基づくテーマでセミナーを開催し、2009年4月までに延べ82,000人以上の組合員がセミナーに参加しています。われわれの活動は発展途上国を中心に高い評価と期待を得ており、これに応えるべく、より充実した活動を展開していく覚悟です。
 しかしながら同時に、われわれを取り巻く環境は年々厳しくなっております。最大の課題は財政問題であり、国の厳しい財政状況の中、事業発展のための予算拡充は大変難しい情勢にあります。こうした現状を踏まえ、将来を見据えたJILAF財政のあり方を追求していかなければならないと考えています。われわれの置かれている状況は非常に厳しいことは充分に認識しておりますが、支援協力を待っている多くの仲間が世界中にいることを忘れることはできません。そして、われわれは民主的チェック機能と政策提言能力を備えた健全な労働運動の存在は、必ず発展途上国の産業・企業の発展に寄与し、社会の安定に貢献するものと信じております。これからも連合の国際連帯活動の推進者であると同時に、日本の外交の一翼をも担っていることを自覚し、たゆまぬ努力を続けていく所存です。皆さまのより一層のご支援・ご協力を心からお願い申し上げます。

国際労働財団20周年記念シンポジウム

 国際労働財団(JILAF)設立20周年記念シンポジウム「社会・労働分野における開発協力のあり方と国際労働財団の役割」を4月10日、都内で開き、210人が参加した。

 第一部・あいさつと提言

設立20週年記念シンポジウムを開く
会場の様子
髙木理事長のあいさつ
東海大学・前島名誉教授をコーディネーターとしてパネルディスカッションを行う
海外からのパネリスト

 主催者を代表して髙木理事長は「JILAF設立時の世界情勢はベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦体制が終焉を迎えていた。われわれは自由にして民主的な労働運動と自立した労働者の存在こそが、持続可能な労働市場と経済成長、公平・公正な社会の構築には重要であるとの認識の下、20年間、活動を展開してきた。これからも労働の尊厳や公平・公正な社会の実現に向けた国際的な枠組みの一助となる事業を推進していく。今後とも皆さまのご支援をお願いしたい」とあいさつ。
 次に連合・古賀事務局長から「開発協力活動における連合の役割と国際労働財団への期待」と題した提言が行われ「ローマで開かれた労働組合サミットに参加してきたが、世界的な経済危機で最も深刻な影響を受けているのは“セーフティネットが脆弱で恩恵を受けることのできない途上国の労働者”であることを忘れてはならない。JILAFは連合の活動を補完する立場で[1]労働安全衛生[2]労使関係[3]労働者教育活動[4]ジェンダー平等[5]児童労働問題[6]HIV/エイズ――等、さまざまな活動を展開している。途上国からJILAFに対する期待は高く、活動のさらなる充実が望まれる」と述べた。
 その後、国際協力機構(JICA)・大島副理事長から「開発援助協力における日本の労働運動への期待」と題した提言では「労働分野における開発協力活動は経済インフラ設備や農業開発、医療・保健衛生と比較すると量的に目立たない。しかし、『人間の安全保障』の観点からも労働分野での役割は重要である。そのなかでもJILAFに対する期待では[1]わが国の比較優位性を活かした途上国のキャパシティービルディングへの貢献[2]グローバル化により、多様化する労働災害・職業病など新たな状況に対応した対策の支援[3]包括的なアプローチの強化――である」と意見提起した。
 また、国際労働組合総連合(ITUC)・ガイ ライダー書記長からの「開発協力における、連合・国際労働財団への期待」と題した提言では「グローバル化により、多くの問題が自国だけでは解決できなくなっており、われわれ労働組合の果たす役割は重要になっている。ITUCは国際開発協力ネットワーク(TUDCN)に[1]労働組合を通じた援助効果の発揮[2]開発を主体とした労働組合の役割の再確認[3]労働組合活動を通じた多国間開発援助[4]各組織による開発協力の情報の共有化――に大きな力点をおいている。『人間らしい働き方』のためには労働者の連帯が必要不可欠であり、JILAFにはこの活動の一翼を担ってもらいたい」と述べた。

 第二部・パネルディスカッション

 続いて東海大学・前島名誉教授をコーディネーターとして行われたパネルディスカッションでは各国からパネリストが招かれ、ITUC・ガイ ライダー書記長、ITUC-AP・鈴木書記長、アメリカ国際労働連帯センター(ACILS)・エリーラーソン書記長、インドネシア労働組合総連合(CITU)・タムリンモシイ会長、そして、JILAF・髙木理事長が参加。
 まず問題提起として、[1]労働組合による開発協力の意義と役割[2]労働組合による開発協力のあり方[3]JILAFの活動への期待――に対してディスカッションが行われた。
 また、会場からは「海外ではNGOと労働組合はどのような連携をしているのか」「JILAFの職場の環境改善プログラムで育成された上級トレーナーが他国でも活躍している。このような成功事例をITUCはデータベース化するべきではないか」などの感想が聞かれた。
 最後に髙木理事長が、「パネリストや会場から出されたさまざまなご意見・ご要望を活動に反映させていきたい。われわれの活動は必ず発展途上国の産業・企業の発展に寄与し、社会の安定に貢献するものと信じている。日本外交の一翼を担っていることを自覚し、次の10年に向けた活動を展開していきたい」と決意を述べた。

発行:財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.